イオンアグリ創造と共同 バイオマス活用し養液栽培を開始 旭化成2023年3月31日
旭化成とイオンアグリ創造は3月30日、バイオマスを肥料源とした養液栽培(プロバイオポニックス技術)を共同で開始することを発表。未利用資源や副産物のバイオマスをトマトの養液栽培に活用する。
プロバイオポニックス技術は、食品加工時に出る残渣や副産物など、生物に由来する有機物資源のバイオマスを、水中で微生物が分解し、水耕栽培などの土壌を使わない養液栽培を行う技術。旭化成は、同技術を導入し、バイオマスから養液を製造する「Nature Ponicsシステム」を開発した。同システムがイオンアグリ創造のイオン埼玉久喜農場に導入され、トマトの栽培を通して共同実証を開始する。
プロバイオポニックス技術のイメージ図
バイオマスは、食品加工時に出る残渣やバイオマス発電所から出るメタン消化液など未利用資源や副産物などが利用できるため、環境負荷の低減が期待されている。土壌では、バイオマスを微生物が分解し、植物が吸収しやすい硝酸態窒素にすることができるが、水中では効率良く分解が進まないため、バイオマスを利用できなかった。
この問題に対し、農研機構は、水中でも硝酸態窒素まで分解を進めるプロバイオポニックス技術を確立。これにより、バイオマスを養液栽培にも用いることが可能になったが、プロバイオポニックス技術を用いた栽培は、いくつかのハードルがあり、普及が妨げられてきた。
「Nature Ponicsシステム」は、環境情報などを基にバイオマスの適時適量を計算し、自動で与えることから、勘や経験ではなく、データに基づいた養液製造が可能になり、誰でも取り組みやすい栽培方法を実現した。
「Nature Ponicsシステム」(左)と分解用タンク
今回の共同実証では、国内のバイオマス資源に着目。缶詰工場などの魚類を加工時に生じる煮汁で、脂肪分を除いて濃縮した「フィッシュソリュブル」や、サトウキビやテンサイ汁を濃縮した製糖原料から砂糖を繰り返して結晶させ、取り出した残りの液である「廃糖蜜」などの副産物を用いてトマトを栽培。化学肥料と比較して生育差や収穫量、機能性成分などの定量評価する。
さらに、「プロバイオポニックス技術による養液栽培の農産物」JASの認証を得て、店頭での販売を目指す。その際、アンケート調査により消費者の声を聞き、プロバイオポニックス栽培に取り組む意義とトマトの味わいなどについて評価を得る。
重要な記事
最新の記事
-
農畜産物を「交渉カード」にするな トランプ関税でJA茨城県中央会 森山自民幹事長に緊急要望2025年5月10日
-
米など「重要5品目」守り抜く トランプ関税交渉で森山自民幹事長 茨城で表明2025年5月10日
-
シンとんぼ(141)-改正食料・農業・農村基本法(27)-2025年5月10日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(58)【防除学習帖】第297回2025年5月10日
-
農薬の正しい使い方(31)【今さら聞けない営農情報】第297回2025年5月10日
-
JA貯金残高 107兆2744億円 3月末 農林中金2025年5月9日
-
米、再生産可能な施策で後押し 石破茂総理2025年5月9日
-
【JA人事】JAぴっぷ町(北海道)大西組合長を再任(3月28日)2025年5月9日
-
備蓄米 全農出荷済み6万3266t 落札量の3割 出荷依頼には100%対応2025年5月9日
-
イネカメムシ被害を防げ 埼玉県と加須市、「防除」を支援 JAの要請実る2025年5月9日
-
備蓄米の円滑な流通 さらなる方策検討 買戻し条件見直しも 江藤農相2025年5月9日
-
米価 「高くなる」判断がやや増加 米穀機構2025年5月9日
-
(434)世界の配合飼料業界のダイナミズム【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年5月9日
-
全農杯全日本卓球選手権大会(ホープス・カブ・バンビの部)岐阜県予選会を県産品で応援 JA全農岐阜2025年5月9日
-
職員対象に「農業体験研修」を実施 JA全農あきた2025年5月9日
-
米を買うときに重視「国産米」77.8% お米についての緊急アンケート 日本生協連2025年5月9日
-
外食市場調査3月度 市場規模は3162億円 3か月ぶりに前年比でもマイナス2025年5月9日
-
BASFグループの第1四半期業績 特別項目控除前EBITDAはほぼ前年同期水準を確保2025年5月9日
-
鳥インフル 米サウスダコタ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年5月9日
-
生活協同組合ひろしまと連携協定「無印良品」商品を供給開始 良品計画2025年5月9日