【特殊報】トマトキバガ 県内で初めて確認 香川県2023年7月27日
香川県農業試験場病害虫防除所は、トマトキバガの発生を県内で初めて確認。これを受けて、7月27日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
フェロモントラップで誘殺された成虫(写真提供:香川県農業試験場病害虫防除所)
7月11日、農業試験場病害虫防除所のほ場(綾川町)に設置しているトマトキバガの侵入調査用のフェロモントラップにおいて、同種疑義成虫1頭の誘殺を確認(写真)。誘殺された成虫を農林水産省神戸植物防疫所に同定依頼したところ7月14日、香川県では未発生のトマトキバガであることが確認された。
また同11日、神戸植物防疫所坂出支所が高松空港(高松市)に設置しているフェロモントラップにおいても、同種疑義成虫2頭の誘殺が確認され、同13日にトマトキバガであることが確認されている。香川県内で現在のところ、農作物の被害は確認されていない。
同種は南アメリカ原産だが、2006年にスペインへの侵入が確認されて以降、ヨーロッパ、アフリカ、中央アメリカ、西アジア、アラビア半島、インド、ネパール、東南アジアに分布を拡大。2021年までに台湾、中国、中央アジア諸国等の近隣地域でも発生が確認されている。国内では、2021年に熊本県で初めて確認されて以降、計20道県で確認されている。
成虫は、翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ(前翅長約5ミリ、開張約10ミリ)。前翅は灰褐色の地色に黒色斑が散在し、後翅は一様に淡黒褐色。幼虫は、終齢で約8ミリ。体色は淡緑色~淡赤白色で、頭部は淡褐色、前胸の背面後方に細い黒色横帯がある。
1年に複数の世代が発生し、繁殖力が高い。発生世代数は環境条件によって異なり、年に10~12世代発生する地域もある。卵~成虫になるまでの期間は24~38日程度で、気温が低い時期はさらに延びる。成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多く、雌は一生のうちに平均約260個の卵を寄主植物の葉の裏面などに産み付ける。幼虫は1齢から4齢までの生育ステージがあり、土中や葉の表面で蛹化する。
主要な寄主植物は、トマト、なす、ピーマン、ばれいしょ等のナス科植物。マメ科のいんげんまめも、寄主植物として確認されている。トマトでは、茎葉の内部に幼虫が潜り込んで食害し、孔道が形成される。葉の食害部分は表面のみ残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。
果実では、幼虫が穿孔侵入して内部組織を食害するため、果実表面に数ミリ程度の穿孔痕が生じるとともに腐敗が生じ、果実品質が著しく低下する。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇ほ場内をよく見回り、見つけ次第捕殺する。
〇トマトキバガの発生が疑われた場合は、病害虫防除所(電話)087-814-7317)に連絡する。
〇発生を拡大させないため、薬剤散布を行うとともに、被害葉や被害果実はほ場に放置せず、速やかに土中に深く埋没するか、ビニル袋などに入れて一定期間密閉し、寄生した成幼虫を全て死滅させ、適切に処分する。
〇現在、トマトキバガに対する登録農薬は表1、2のとおり。また、植物防疫法第29条第1項に基づく措置として、表3に記載された農薬により防除することができる。
なお、薬剤散布にあたっては、最新の農薬登録情報を確認し、薬剤抵抗性の発達を防ぐため系統が異なる薬剤のローテーション散布を行う。
表1:トマト
表2:ミニトマト
表3:なす
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