【特殊報】トマトキバガ 県内で初めて確認 山形県2023年9月27日
山形県病害虫防除所は、トマトキバガの発生を県内で初めて確認。これを受けて、9月27日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
写真1:山形県で誘殺されたトマトキバガの成虫 (写真提供:山形県病害虫防除所)
山形県病害虫防除所によると、4月から県内2地点にトマトキバガのフェロモントラップ(PT)を設置し、調査した結果、8月4日にトマト栽培圃場周辺に設置したPT(1地点)に同種と思われる蛾の成虫が誘殺された。
誘殺された蛾の成虫(写真1)を農林水産省横浜植物防疫所に同定を依頼した結果、トマトキバガの雄であると同定された。現在のところ、県内では本種による農作物の被害は確認されていない。
同種は、国内では2021年10月に熊本県のトマト圃場で初めて確認された。その後、東北5県を含む計24道県で特殊報が発表されている(9月26日現在)。
トマトキバガの成虫は、翅を閉じた静止時で体長5~7mm(前翅長約5mm、開張約10mm)で、前翅は灰褐色の地色に黒色斑が散在する。後翅は一様に淡黒褐色。幼虫は、終齢で約8ミリ。体色は淡緑色~淡赤白色。頭部は淡褐色。前胸の背面後方に細い黒色横帯がある。
1年に複数の世代が発生し、繁殖力が高い。発生世代数は環境条件によって異なり、年に10~12世代発生する地域もある。卵~成虫になるまでの期間は24~38日程度で、気温が低い時期はさらに延びる。
成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多く、雌は一生のうちに平均約260個の卵を寄主植物の葉の裏面などに産み付ける。幼虫は1齢から4齢までの生育ステージがあり、土中や葉の表面で蛹化する。
トマト、なす、ピーマン、ばれいしょ等のナス科植物が主要な寄主植物。マメ科のいんげんまめも、寄主植物として確認されている。トマトでは、茎葉の内部に幼虫が潜り込んで食害し、孔道が形成される。葉の食害部分は表面のみ残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。果実では、幼虫がせん孔侵入して内部組織を食害するため、果実品質が著しく低下する。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇圃場内をよく見回り、見つけ次第捕殺する。
〇トマトキバガの発生が疑われる場合は、病害虫防除所または最寄りの農業技術普及課に連絡する。
〇発生を拡大させないため、薬剤散布を行うとともに、被害葉や被害果実は圃場に放置せず、速やかに土中に深く埋没するか、ビニル袋などに入れて一定期間密閉し、寄生した成幼虫を全て死滅させ、適切に処分する。
〇現在、トマト、ミニトマトではトマトキバガに対する適用農薬がある。また、薬剤散布に当たっては、最新の農薬登録情報を確認し、薬剤抵抗性の発達を防ぐため、系統が異なる薬剤のローテーション散布を行う。
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