【特殊報】ピーマン、スイカにクロテンコナカイガラムシ 県内で初めて確認 熊本県2024年1月31日
熊本県病害虫防除所は、ピーマン(パプリカ)、スイカにクロテンコナカイガラムシの発生を県内で初めて確認。これを受けて、1月30日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第5号を発令した。
図1:クロテンコナカイガラムシ雌成虫(写真提供:熊本県病害虫防除所)
熊本県病害虫防除所によると2023年8月、県内のパプリカ栽培ほ場でコナカイガラムシ類が発生。この虫を採集し、農林水産省門司植物防疫所に同定を依頼した結果、熊本県では未確認だったクロテンコナカイガラムシであることが確認された。その後、10月にはスイカ栽培ほ場でも同虫の寄生が確認された。
クロテンコナカイガラムシは、2009年に沖縄県で発生が初めて確認された後、これまでに20府県で発生が確認されており、九州では、すでに全県で発生が確認されている。
クロテンコナカイガラムシの雌成虫は楕円形で体長は3~5ミリ程度。コナカイガラムシ類は背面に白色のロウ質物を分泌するため全体としては白く見えるが、同虫は2対の黒斑が見られる(図1)。この黒斑は2齢幼虫以降に見られ、1齢幼虫には見られない。
雌成虫は綿状のロウ質物の卵のう内に平均350個程度産卵する。ふ化後、1齢幼虫は数日間卵のう内で過ごした後、摂食のために歩いて分散。雌は羽化せず翅のない成虫になり、雄は蛹を経て1対の翅を持つ成虫となる。また、同虫は交尾後産卵する有性生殖と雌成虫が交尾せずに産卵する単為生殖の両方が知られている。同種の単為生殖個体群における1世代の発育期間は平均70日程度。
被害としては、ウリ科、ナス科など66科の植物種に寄生の報告があり、広食性。国内ではトマト、ナス、ピーマン、キクなどで被害の発生が確認。同虫は、寄主植物の葉、茎、果実などを吸汁加害することで植物体を衰弱させる。また、分泌した甘露(糖分を多く含む排泄物)によって、表面にすす病が発生し、果実の汚れ(品質低下)や光合成の阻害を引き起こす。
図2:パプリカの葉に寄生するクロテンコナカイガラムシ(写真提供:熊本県病害虫防除所)
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇パプリカについてはピーマンのコナカイガラムシ類に登録のある薬剤を用いて防除を行う。スイカについては現在、登録農薬はない。
〇ほ場内での早期発見に努め、発生が認められた場合は寄生部位を除去するか、圧殺するなどして適切に処分する。
〇雑草は同虫の増殖源となり得るため、ほ場内及び周辺の除草を徹底する。
〇施設栽培の場合は、栽培終了後に他の微小害虫防除も兼ねてハウス密閉処理を行う。
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