里山の赤トンボ 生息地ネットワーク形成のための地理的条件を解明 森林総合研究所2024年3月6日
国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所らの研究グループは、全国的に激減している里山の赤トンボが生息地ネットワークを形成するための地理的条件を解明した。
同研究グループは、近年全国的に激減している里山の希少種ミヤマアカネ(トンボ目:トンボ科)のDNAをゲノムワイドに解析することで、保全に必要な生息地同士のつながり(生息地ネットワーク)が全国各地でどれだけ劣化・消失しているか確かめ、つながりの再生に必要な地理的条件を解明した。
図1:同研究で明らかになったミヤマアカネの生息地ネットワーク形成のための地理的条件
具体的には、①過去には全国の生息地が広くつながっていたが、現在ではほとんどの生息地において集団が孤立していること、②成虫は約5km以内の距離を移住でき、生息地の周囲1km以内に草地が多いほど、移入してきた個体が定着しやすいこと(図1)を遺伝的な証拠に基づいて示した。
同研究で明らかになったミヤマアカネの生息地ネットワーク形成のための地理的条件としては、成虫が移住できる約5km 以内の距離に他の集団があり、かつ水田やゴルフ場を含む多くの草地に囲まれた生息水域を保全・創出することで、生息地ネットワークの再生が期待できる。
ミヤマアカネの雄成虫(a)とミヤマアカネの生息環境(b)
同成果は、ミヤマアカネの保全に必要な生息地ネットワークを里山空間で再生する際の指標となる。ただし、生息地ネットワークの再生においては、地域固有の集団を他の集団と混在させないよう、遺伝的多様性の保全に配慮することも必要となる。
同研究成果は2023年12月8日、保全生物学分野の国際科学誌『Conservation Genetics』のオンライン版に掲載された。
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