【特殊報】トマトキバガ 農作物で食害を県内で初めて確認 岐阜県2024年5月28日
岐阜県病害虫防除所は、トマトキバガの発生を岐阜・西濃地域で確認。農作物での食害を県内で初めて確認したことから、5月24日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
岐阜県病害虫防除所によると4月、県内の一部のトマト施設栽培ほ場において、トマト葉および果実にせん孔侵入した食害が認められ、食害部にはトマトキバガと疑われる幼虫を確認。また、施設内では、暗色で細長いガの成虫が確認された。当該ほ場から成虫を採取し、病害虫防除所で同定を行った結果、トマトキバガと確認された。
同虫については、令和5年度にフェロモントラップ調査において県内での発生を確認し、発生予察特殊報令和5年10月11日付けを発表したが、農作物での食害は県内で初めて確認。農作物における食害は、熊本県、宮崎県ともに令和3年度、北海道令和5年度で発生予察特殊報が発表されている。
成虫の形態は、翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ(前翅長約5ミリ、開張約10ミリ)。前翅は灰褐色の地色に黒色斑が散在する。後翅は一様に淡黒褐色(写真1)。幼虫は、終齢で約8ミリ、体色は淡緑色~淡赤白色。頭部は淡褐色。前胸の背面後方に細い黒色横帯がある(写真2)。
写真1:トマトキバガ成虫(左)と写真2:幼虫(提供:岐阜県病害虫防除所)
1年に複数の世代が発生し、繁殖力が高い。卵~成虫になるまでの期間は24~38日程度で、気温が低い時期はさらに延びる。成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多い。主な寄主植物はトマト、ナス、バレイショなどナス科植物で、インゲンマメも寄主植物として確認されている。雌は一生のうちに平均で約260個の卵を寄主植物の葉の裏面などに産み付ける。
トマトでは、茎葉の内部に幼虫が潜り込んで食害し、孔道が形成される。食害部分は表面のみを残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる(写真3)。果実では、幼虫がせん孔侵入して内部組織を食害するため、果実表面に数ミリ程度のせん孔痕が生じるとともに、食害部分の腐敗が生じ果実品質が著しく低下する(写真4)。
写真3:トマト葉の食痕(左)、写真4:トマト果実の食痕黒色(提供:岐阜県病害虫防除所)
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇ほ場内をよく見回り、見つけ次第捕殺する。
〇発生を拡大させないため、薬剤散布を行うとともに、被害葉や被害果はほ場に放置せず、速やかに土中深く埋めるか、ビニル袋に入れて一定期間密封し成幼虫を死滅させるなど、適切に処分する。
〇5月23日現在、トマトキバガに対してはトマトおよびミニトマトで農薬登録されている(表)。なお、農薬散布にあたっては、最新の農薬登録情報を確認し、薬剤抵抗性の発達を防ぐため系統が異なる薬剤のローテーション散布を行う。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日