「これからの水管理、施肥管理の徹底を」水稲の高温対策 農水省2024年6月10日
農林水産省が毎月発行している「米に関するマンスリーレポート」の6月号(6月7日発行)では「水稲の高温対策」を特集している。
2023年は梅雨明け以降、北・東日本を中心に記録的な高温が続き、白未熟粒の発生などが懸念された地域では、品質低下を防ぐための追肥や水管理、適期収穫などの対応を強化した。さらに少雨による渇水に見舞われた地域では番水(地区ごとやほ場ごとに順番と時間を決めて用水を配水すること)や、消雪用井戸の活用なども行われた。
マンスリーレポートでは、各県で取り組まれた高温下での水稲栽培の適応策についてもっとも効果が高かったとする対策を紹介している。
それによると「高温耐性品種の導入」が41%ともっとも多くなっている。高温耐性品種の作付面積は2023年産で全国で18万2870haとなり前年産より2万ha以上増えた。
農水省は23年度補正予算で高温対策栽培体系への転換支援の予算を措置しており、栽培実証に必要となる経費(実証ほ場の借り上げ、種子・苗、資材、土壌分析)を2分の1以内で支援する。
高温耐性品種の導入がもっとも効果があったとした府県は、山梨、静岡、岐阜、三重、滋賀、大阪、兵庫、島根、広島、香川、福岡、長崎、大分、鹿児島。
次いでもっとも効果が高かったとした取り組みは「水管理の徹底」で32%だった。
具体的な内容は、出穂期・登熟期の適正な間断かん水、かけ流し、飽水管理、早期落水の防止、現地講習会やチラシの配布、巡回指導の徹底などだった。もっとも効果があったとした府県は秋田、山形、栃木、群馬、神奈川、石川、滋賀、岡山、愛媛、佐賀、宮崎だった。
そのほか「施肥管理の徹底」がもっとも効果があったとした府県は、群馬、埼玉、滋賀、岡山。葉色診断などによる追肥または減肥の実施などに取り組んだ。
「適期植付の徹底」を挙げたのは福井と鹿児島。早植えをしないことで登熟期の高温遭遇を回避するのが狙い。「害虫防除の徹底」は愛知と三重が挙げた。カメムシ防除の徹底に取り組んだ。青森では「適期刈取の励行」がもっとも効果が高かったとした。
気象庁の向こう3か月の天候の見通しによると、6月から8月は暖かい空気に覆われやすく気温は全国的に高い見通し。
農水省は高温にともなう技術指導通知を4月に発出している。
水稲については、生育前半が高温だった場合は、過剰分げつや籾数過多が見られることから、適正な基肥の施用、栽植密度の調整、中干しの徹底に努めることしている。また、いわゆる基肥一発肥料を使用した場合でも、現場の生育・栄養診断の実施による適切な追肥に努めるよう通知している。
農水省は「これからの水管理、施肥管理の徹底が重要」と強調している。
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