種子発芽の温度範囲を決める仕組み解明 気候変動に対応した種子発芽制御技術応用に期待 明治大学農学部2024年7月10日
明治大学農学部の川上直人教授、同大学院農学研究科博士後期課程の大谷真彦氏(現:博士(農学)、明治大学研究・知財戦略機構 研究推進員)をはじめとする国際共同研究グループ(パリ-サクレー大学・フランス国立農業食料環境研究所のJean Colcombet博士、香川大学農学部の市村和也教授、国立遺伝学研究所の越水静助教ら)は、種子が発芽可能な温度範囲を決める仕組みを解明した。
図1:冬型一年生草本種子の発芽の季節決定:種子の休眠と環境の温度
種子が発芽する季節・タイミング(時季)は、種子自身が持つ休眠の状態と環境の温度の組合せによって決まる。種子成熟後の時間経過に伴う休眠性の低下は、発芽可能な温度範囲の拡大をもたらし、環境の温度がこの範囲に収まる時季に発芽する(図1)。
種子は、本来と異なる時季に発芽すると、個体の成長や種子生産がダメージを受けるため、生育に適したタイミングで発芽することが重要。今回、共同研究グループは、種子が発芽可能な温度範囲を決める仕組みを解明した。
この仕組みでは、酵母から植物、動物まで広く存在する細胞内情報伝達経路、MAPキナーゼカスケードが中心的な役割を持ち、発芽の適温でカスケードが活性化され、植物ホルモンの作用を調節して発芽を促して発芽の温度範囲を決めていることを明らかにした。このカスケードで働くタンパク質リン酸化酵素(キナーゼ)の一つ、MKK3は、コムギやオオムギでは小麦粉やモルト(麦芽)の品質を大きく左右する穂発芽関連遺伝子。
今回の研究は、種子が温度を感知して発芽の時季を制御する仕組みの解明につながるだけでなく、温暖化に対応し、安定した作物生産を可能とする、種子発芽制御技術の開発への応用が期待される。
同研究成果は、米国科学アカデミーが発行する総合科学学術誌『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)』に掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】ブロッコリーの黒すす病にSDHI剤耐性菌が発生 北海道2025年12月25日 -
【Jミルク脱粉在庫対策】基金初発動1.2万トン削減 なお過剰重く2025年12月25日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年12月25日 -
米価高騰に対応、「4kgサイズの米袋」定番化 値ごろ感出し販売促進 アサヒパック2025年12月25日 -
協同組合の価値向上へ「鳥取県宣言」力強く2025年12月25日 -
【世界を診る・元外交官 東郷和彦氏】トランプ再来の嵐 自国利益に偏重2025年12月25日 -
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】なぜ日本は食料難の経験を教科書から消したのか?2025年12月25日 -
すべての都道府県で前年超え 2024年の県別農業産出額 トップは北海道2025年12月25日 -
【農と杜の独り言】第7回 祭りがつなぐ協同の精神 農と暮らしの集大成 千葉大学客員教授・賀来宏和氏2025年12月25日 -
国連 10年に一度「国際協同組合年」を決議2025年12月25日 -
秋田と山形の3JAが県越え連携協定2025年12月25日 -
日本産の米・米加工品の輸出促進策を議論 「GOHANプロジェクト」で事業者が意見交換 農水省2025年12月25日 -
26年産の農家手取り「2万5000円めざす」 暴落の予兆に抗い再生産価格を確保 JA越前たけふ2025年12月25日 -
笹の実と竹の実【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第370回2025年12月25日 -
茨城県で鳥インフル 97万羽殺処分へ 国内10例目2025年12月25日 -
ホットミルクと除夜の鐘 築地本願寺でホットミルクお振舞い JA全農2025年12月25日 -
JA共済アプリ・Webマイページに「チャットボット」機能を導入 JA共済連2025年12月25日 -
5県9JAの農産物・加工品を販売 第46回マルシェ開催 JA共済連2025年12月25日 -
短期プライムレートを年2.125%に引き上げ 農林中金2025年12月25日 -
栽培支援のグリーンに投資 データ活用の高度化で気候変動対策や担い手育成支援 アグリビジネス投資育成2025年12月25日


































