オーストリアで活発な個人森林所有者による林業 その要因を明らかに 森林総研2025年7月15日
国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所は、日本と類似点の多いオーストリアの林家が活発に林業を行う要因について、熊本県阿蘇森林組合とシュタイヤーマルク州林業協同組合連合会(WV)の組合員を対象としたアンケート調査と現地調査から明らかにした。
図.林業収入が 2 つの組合で異なる背景
組合員1人が所有する森林の一か所あたりの面積および合計面積について、WVでは阿蘇森林組合よりも大きく、そうした森林を自伐することによってまとまった林業収入を得ていた。この背景には、農林年金を受給するには農林地を移譲する必要があるため、若いうちに相続するという事情がある。
また、所有林の合計面積や1か所あたりの面積が大きく維持されているのは、一子相続の慣習と土地取引法や森林法などの法規制が影響していた。さらに、丸太流通コストが低いことも高い収益につながっていた。
阿蘇森林組合では後継者が十分でなく、所有者が林業経営をやめる傾向が見られたが、WVでは林業意欲の高さが森林購入による規模拡大につながっていた。これらは、今後の日本の政策を検討する上で大いに参考となる成果といえる。
同研究成果は、2024年8月28日に『Forests』誌でオンライン公開された。
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