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栽培技術:現場の課題解決へ 注目のパートナー

【シリーズ・現場の課題解決へ 注目のパートナーたち 総括編】インタビュー・アグリビジネス投資育成(株) 取締役代表執行役 松本恭幸氏 農業者の所得向上めざすバリューチェーンづくり2024年1月30日

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日本政策金融公庫、農林中央金庫をはじめとするJAグループ全国連が株主となり、農業法人へ出資して担い手を育成・支援しているアグリビジネス投資育成(株)は2021年の法改正で食農関連企業やアグテック企業といった、いわゆる「食のバリューチェン企業」にも出資が可能となった。同社は本シリーズで「注目のパートナー」としてレポートしたアグテック企業にも出資している。今回はシリーズの総括編として同社取締役代表執行役の松本恭幸氏に事業の意義と今後の方針などを聞いた。

アグリビジネス投資育成(株) 取締役代表執行役 松本恭幸氏アグリビジネス投資育成(株) 取締役代表執行役 松本恭幸氏

――このシリーズでは、農業現場の課題を解決する技術を開発したアグテックを農家のパートナーとして位置づけてレポートしてきました。投資の方針や目的を改めてお聞かせください。

農業・農村の課題解決に役立つ新たなアグテックの多くはベンチャー企業から生まれています。

これまでにないアイデアから開発をスタートし、ビジネスモデルを作るというかたちで進んでいきますが、途中で行き詰ることも多く、いろいろな出資者から資本やアシストを受けながら会社を興していくことが必要です。それによってサービスや技術がだんだんと売れるようになり、いわゆるテイクオフしていくわけです。

弊社はそうした企業が成長するために出資により資金を提供するのですが、その企業の製品やサービスをきちんと農業の「現場の課題解決」に使ってもらうということも目的です。

そのため、出資の基準の1つ目として、その企業が持っている製品やサービスが本当に現場の課題解決に役立つのかということを検証します。つまり、製品やサービスの目利きを弊社が行うということです。農業現場を支援するサービスはたくさん登場してきましたが、有用で使い勝手のいいものかどうか、弊社が生産者に代わってクオリティをきちんと評価します。

2つ目の基準として、われわれが投資する際には、その企業が事業を継続していけるかどうか、ビジネスモデルや経営者の能力も含めて評価しています。サービスや製品は一度導入すると、その後にメンテナンスが必要になりますが、その企業が存続していなければメンテナンスができないということになります。農業の世界でもこれまでもしばしばありました。

3つ目の基準は提供される製品やサービスが農業者にとって購入可能な価格であることです。いい製品はいくらでもお金を出せばあるかもしれませんが、農業者のみなさんは補助金を受けてやっと収支がとれるというなか、経営を高度化させようと新たな製品やサービスを導入するのですから、やはり価格が安いということは大事なことだと考えています。

弊社が出資した「farmo」が提供している水位センサーや自動給水ゲートなどは非常にシンプルなシステムであり、ユーザーが利用しやすい価格帯を設定しています。そういった観点から出資先として選びました。つまり、より広く製品やサービスを使ってもらおうということがわれわれの投資の目的だということです。

同じく出資先である「有機米デザイン」も環境にかける負荷を減らすという課題をシンプルに解決するため「アイガモロボ」を開発しました。人手もかけず雑草を抑えることが実証されています。さらに有機米の販路を自分たちで開拓することで農家の販売先の一翼を担い、生産から販売まで一気通貫の事業としています。

――投資実績や事業の概況について聞かせてください。

農林漁業法人への投資件数は665件(累計)で投資金額は114億円(累計)となっています。投資をするだけでなく、担い手コンサルティングや当社が契約した税理士や中小企業診断士など専門家による個別コンサル、経営情報ブックレットの配布など育成業務も行っています。

食のバリューチェン企業への投資は48件、41億円となっています。こうした企業と農業法人とのビジネスマッチングにも力を入れています。

――食のバリューチェーン企業への投資でめざすことは何でしょうか。

農業の持続的な発展を目的に食農バリューチェーン全体を俯瞰しながら成長資金を供給し事業を支援するということです。出資にあたっては、取引生産者の数や国産活用商品の販売数など、農業者の所得向上や食産業の発展などに関する目標(KPI)を設定していただき、それをモニタリングし事業計画の策定支援なども行いながら事業成長を支援することにしています。

投資テーマは先ほども話題になった使いやすいスマート技術や、米粉、冷凍食品など新食品市場の創出、輸出促進、地域活性化などです。

――投資事例にはどのようなものがありますか。

地域活性化をテーマとした投資では、秋田市の(株)ゆう幸は、県内の特産品を使って和モダン高級菓子を製造し、首都圏百貨店へ"くら吉"ブランドの常設店を出店しています。同社は善兵衛栗や食用ほおずき、ラズベリーなど秋田特産の農産物を原料にすることで、農業者の所得向上に貢献しています。こうした地域内バリューチェーンを作り上げていこうとしていることを評価しました。また、弊社は、出資後に農林中央金庫秋田支店と連携しJAを紹介するなど積極的に経営相談にものっています。

静岡市の(株)CREA FARМは地域の生産者の協力を得て農地を確保し、県産オリーブを活用したオイルや地元名産のわさび、シラスといった加工食品の製造・販売をしています。同社の地域を巻き込んだ取組みにより藤枝市でオリーブを軸とする観光農園が展開されており県内の農業を盛り上げることに貢献しています。

輸出関連の直近の投資先としては(株)世界市場が注目されます。徳島県の鳴門金時や、山梨県のJAふえふきの桃、熊本県のみかんなど台湾や香港に輸出していますが、鮮度保持した販売などで競争の激しい現地でも評価されています。私が何より評価するのは、同社の経営陣が現地の評価を必ず産地に出向いて話をし伝えていることです。この丁寧な対応によって輸出向け産地が形成されています。

――今後はどのような事業展開を重視していきますか。

農業法人への支援がわれわれの一丁目一番地です。コントロールできないほどコストが上昇し、みなさん大変苦労していますから、この状況を乗り切っていただくために支援の姿勢を全面に出して、大手の農業法人から小規模の農業法人までしっかり支えていきたいと思っています。

特にこれから金利のある世界になります。コロナ禍でゼロ金利資金の借り入れが増えていますが、借換えにより金利負担が厳しくなっていくと思います。

日本政策金融公庫からの借り入れにも限界がありますから、一般金融機関から借り入れしなければならなくなるとすれば、資本をしっかりとしなければなりません。その点でわれわれの本業である出資によってしっかり支援していきたいと思っています。

同時にビジネスマッチングや担い手コンサルティングを中心に経営の質を上げるような支援もしっかりと行っていきたいと考えています。

とくに私が強調したいのは、大小問わず、ということです。日本の農業をきちんと面として育てていくには小規模な農業法人もしっかりと支援をしなければいけないと思っています。

食のバリューチェーン企業への投資でいちばん大切にしているのは、生産者の役に立つ企業に対して投資・育成をしていくということです。投資するだけでなく、その企業を生産者と結びつけていく育成事業を通して、食のバリューチェーン企業と生産者の両方が伸びていくことを強化していきたいと考えています。投資をすることも大切ですが、その後に何をするのかが大事だと考えています。

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