健全な中古農機市場形成のため 査定士制度発足2014年3月17日
農業機械は農産物生産に不可欠な生産資材だ。日本農業は担い手が減少し耕作放棄地が拡大する一方、法人化の促進や営農規模の拡大、排ガス規制の対応などで、農機の高性能化、大型化が進んでいる。そうした中、農機利用コストを着実に低減させる有効策が求められている。
一般社団法人日本農業機械化協会(農機協)は、初期費用を低減できる中古農機の長期利用が有効な対策になるとしていた。しかし、中古農機の残存能力を適切に評価する手法が無く、再販機体の市場価格情報も不足する状態を克服するためには、新たな枠組みが欠かせないとの考えに至った。
そこで、自動車査定制度などを参考に、農機の定期点検整備制度や、中古農機流通実態調査、中古農業機械査定士養成制度を連携運用する仕組みに着目し、定期点検整備研究会と中古農業機械査定士養成制度研究会を設置し、新たな枠組みを研究することにしたものだ。
両研究会では、「中古農機流通実態調査」と、「中古農業機械査定士養成制度」による中古農機の適切な価格形成と、中古農機市場の健全な発展の可能性、「定期点検整備」の励行による農機作業の安全確保や、農機の長期利用の可能性のほか、これら3制度の総合運用による農機利用コスト低減の可能性について検討した。
加えて、自動車や建機などの他産業の中古査定や点検整備の枠組みの研究、整備関係者やユーザーとの討議やアンケート結果などを研究した結果、中古農業機械査定士養成制度が有効との結論に達した。
◇
【査定士による査定方式とユーザーのメリット】
[1]中古農業機械価格ガイドブックで中古農機流通情報を提供する。管区別(各農政局範囲)に主要型式の再販価格水準が分かり、費用対効果の高い中古農機を選定できる。
[2]中古農業機械査定士が、査定基準に基づき査定機体の損耗状態をチェックし、修理・再販するので、使用年数相応の残存能力と品質(安全)を備えた中古農機を市況に応じた適切な価格で購入できる。
[3]残存能力に見合う適切な価格形成により、健全な中古市場が形成される。中古農機の流通が増えることにより、機械利用コストの削減が期待される。
【査定士による査定方式と流通事業者のメリット】
[1]協会が毎年作成する管区別の経年減価率とアワメーター増減率、査定事業者が毎年作成するガイドラインを使用する査定基準で査定することにより精度の高い買取り下取り査定が可能になり、ユーザーの信頼を向上できる。
[2]検定試験合格の中古農業機械査定士が、査定基準に基づいて査定することにより、ユーザーの信頼を向上できるなど。
対象機種は乗用トラクタ・乗用田植機とコンバインの3機種で、中古農業機械査定士の技能検定試験は1?6月期、7?12月期の年2回、第1回の技能検定試験は、平成26年6月頃を想定している。
この件に関する問い合わせは、農機協(TEL:03-3297-5640)まで。
(関連記事)
・農作業死亡事故減らせ 地域の取組みを全国に(2014.03.04)
・最優秀賞にJAえちご上越 農作業の危険改善(2014.02.05)
・農作業事故防止の推進会議 2月、都内で(2014.01.30)
・地域農業システムづくりへ、JAの役割とは(2013.12.06)
・安全な農作業は永遠の課題 三廻部眞己氏に聞く(2013.08.30)
重要な記事
最新の記事
-
(448)郷愁とノスタルジー【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年8月15日
-
あらゆる暴力の即時停止を 被爆・戦後80年にメッセージ発表 パルシステム連合会2025年8月15日
-
京都府「第3回京のこだわり畜産物レシピコンテスト」開催2025年8月15日
-
「パンのフェス2025」三井アウトレットパーク木更津で9月に開催2025年8月15日
-
機械審査なし「お米番付12回大会」エントリー開始 八代目儀兵衛2025年8月15日
-
東京23区の住民 過去1年間に森林を訪れたのは3人に1人 森林総研2025年8月15日
-
【サステナ防除のすすめ2025】秋冬野菜の病害虫防除 異常気象こそ先手対応を2025年8月14日
-
見なくなった案山子、燕・雀・烏【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第353回2025年8月14日
-
花がよく売れるお盆・彼岸から見えてくる花産業の問題点【花づくりの現場から 宇田明】第66回2025年8月14日
-
渡り鳥「キビタキ」「ノビタキ」越冬地との間の移動経路を明らかに 森林総研2025年8月14日
-
国産・添加物削減・減農薬にこだわり「デポー国領駅前」リニューアルオープン 生活クラブ生協2025年8月14日
-
果実のフードロス削減・農家支援へ「キリン 氷結 mottainai 浜なし」再登場2025年8月14日
-
【役員人事】バイエル(9月1日付)2025年8月14日
-
「地元で働きたい」に応える 地域限定採用で安定雇用も実現 パルシステム埼玉2025年8月14日
-
政府の「米増産」方針 立ちはだかる「壁」と拭えぬ不安 産地JAと米農家の声2025年8月13日
-
【サステナ防除のすすめ2025】果菜類(施設)編 太陽熱で死滅狙う(1)2025年8月13日
-
【サステナ防除のすすめ2025】果菜類(施設)編 太陽熱で死滅狙う(2)2025年8月13日
-
危険な暑さご用心【消費者の目・花ちゃん】2025年8月13日
-
「新潟県産もも」旬の食べ比べ講座 品種ごとの味や食感を学ぶ JA新潟かがやきなど関連団体2025年8月13日
-
親子で地球にやさしいエネルギーを体験「とよたパクパク★ECOフェスタ」開催 生活クラブ愛知2025年8月13日