「蚊の生態と媒介性疾患」テーマに 佐伯英治獣医学博士が講演2015年6月15日
バイエル薬品(株)は6月11日、大手町サンケイプラザにおいて、佐伯英治獣医学博士を講師に招き、「蚊の生態と媒介性疾患?人とペットの予防法?」をテーマにプレスセミナーを開催した。
昨年は、蚊が媒介する感染症の一つであるデング熱が発生し、注目されたが、蚊の生態や感染防止法については、一般の生活者にはあまり知られていないようだ。
昨年8月に、海外渡航歴のない10代女性がデング熱に感染(厚労省発表)した。デング熱感染のもととなるヒトスジシマカの発生源、と目された代々木公園は、9月4日から2か月立入禁止となり、厚労省も「ヒトスジシマカの発生源を叩け」と号令をかけ、園内の駆除を都合4回に渉り行った。
蚊を媒介としてデングウイルスに感染すると、高熱を発し頭痛や筋肉痛、食欲不振、脱力感などの症状が現れるが、通常は1週間くらいで回復する。また出血症状が現れることもあり、適切な治療をしないと死亡する場合もあるという。
佐伯博士は「血を吸う蚊はメスだけで、お腹がすいたから吸うのではなく卵を産むために吸う。蚊が伝播する感染症では、デング熱は全世界で4000万人が感染し、マラリアは全世界で3?5億人が感染し100万人以上が死亡している。蚊は人間にとって最も恐ろしい生き物だ」と講演した。
また、佐伯博士は「デング熱は、人から人に感染することは無く、ヒトスジシマカを媒介として感染する。このため、ヒトスジシマカを駆除することが必要だが、成虫になってからは駆除しにくく、卵で越冬する特性から卵・幼虫の段階で駆除することが効果的だ」と述べた。
蚊の駆除にはピレスロイド系の薬剤が有効だという。ピレスロイドとは、蚊取り線香にも使われる除虫菊の花に含まれる主殺虫成分ピレトリンと、その類縁化合物の総称だ。昆虫に対しては高い生物活性を示すが、哺乳動物に対しては低毒性で影響を与えない。
ピレスロイド剤の中でも、従来剤の数十倍の殺虫効力があり、長い残効性を有するペルメトリンは、蚊の駆除に極めて有効だという。
蚊の神経細胞のNaチャンネルに働き、一過性の過剰興奮を引き起こして死に至らしめる。また蚊は、その感覚器でペルメトリンを察知し忌避行動を起こす。蚊に対しては、強力な殺虫剤であり忌避剤でもある。
ちなみにバイエル薬品では、ノミに効くイミダクロプリドと、マダニと蚊に効くペルメトリンを含有した、犬用のノミ・マダニ駆除剤「フォートレオン」を開発・販売している。動物用医薬品で唯一の「蚊の忌避」効能を持つ駆除剤だ。
(写真)講演する佐伯英治博士
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