ソリューション型農業の現状と今後の展開 バイエルクロップサイエンス2019年10月8日
バイエルクロップサイエンス(東京都千代田区)は、同社が展開するソリューション型農業の現状や今後の展開について記者発表会を東京都内で開いた。共同で事業開発を行う中国のドローンメーカー、XAG社の新機種も発表した。
世界的規模で食糧問題の解決や農業の効率化が課題となるなか、日本でも農業のデジタル化が注目され、スマート農業など技術革新が進んでいる。こうした流れを受け、バイエルクロップサイエンスは昨年11月、ドローンを開発・販売するXAGとその日本法人、XAIRCRAFT JAPANと共同で事業開発をスタート。それぞれの強みを生かし、「共同ドローンビジネスプロジェクト」「ドローン農薬散布技術の共同開発」「デジタル農業の共同開発およびデータの相互補完」の3つのプロジェクトに取り組み、なかでもドローンによるセンシング技術、農薬、種子、肥料の散布省力化などが期待されている。
同社は、日本全国でドローンの飛行デモンストレーションや散布試験を行い、ドローンによる散布とバイエルの農薬、日本に特化した栽培知識を用いてさまざまな栽培条件と作物に対応する高精度な散布技術の確立をめざしている。
現在取り組んでいるソリューション型農業の現状について、同社執行役員で日本・韓国カスタマーマーケティング本部の仁木理人本部長は「農薬の開発だけでなく種子、水田テクノロジー、デジタル農業などテーラーメイドのソリューションを効率的に提供していく」と話した。
(写真)バイエルクロップサイエンスのハーラルト・プリンツ社長
◆XAG社ドローン新機種発表
完全自動飛行、完全自動散布のXAG社が開発したドローンの新機種「P30」は、水で洗い流せる防水仕様で作業後の手入れが簡単。機体全体がモジュラー設計で組み立てやすく運びやすい仕様となっている。4枚のプロペラ直下に配置されたアトマイザーにより下向きの風(ダウンウオッシュ)が作物に薬剤を均等に散布できる。また、散布誤差を数センチにまで精密化するRTKシステムも搭載。今後は測位に必要なRTKステーションも随時設立していく。
XAGの共同創業者兼副社長のジャスティン・ゴン氏は「精密農業にしても、環境保護でも高い基準を有する日本の高いレベルに合わせた製品を開発していく」と説明。また、バイエルクロップサイエンスのハーラルト・プリンツ社長は、「例えば中山間地で栽培される柑橘の場合、農家は水を運ぶことに苦労しているが、ドローンで散布できれば省力化につながる。今後はドローンの散布に使える農薬の散布を拡大し、さらに実践的な散布ができるように取り組みをすすめていく」と展望を述べた。

バイエルクロップサイエンスの仁木理人日本・韓国カスタマーマーケティング本部長(左)とXAGのジャスティン・ゴン共同創業者兼副社長
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