東京のど真ん中から米の新たな魅力発信 「YANMAR TOKYO」を訪ねて(1)2023年5月23日
ヤンマーホールディングスが、今年1月に東京・八重洲にオープンした「YANMAR TOKYO」。東京の真ん中から米の魅力を発信し、米の新たな可能性を咲かせる拠点として整備された複合施設には、どんな魅力が詰まっているのか。開業から4か月。改めて各フロアを訪ねてみた。
ヤンマー米ギャラリー
遊びながら米の魅力を学べるギャラリー
「米の性格診断だって。やってみようよ」
5月上旬の平日午後。「YANMAR TOKYO」1階の「ヤンマー米ギャラリー」(入場無料)で、若いカップルが入口わきのコンテンツに夢中になっていた。自分の性格にあった米の品種や他の品種を選んだ人との相性を診断できるタッチパネルコンテンツ。2人は神奈川県から訪れた21歳の大学生。SNSで施設を知って初めて訪れたという。「ヤンマーってヤンマースタジアムのヤンマーですよね。どんな会社かよく知りませんでしたが、このギャラリーは楽しいですね」(男性)
「YANMAR TOKYO」は、「人の可能性を信じ、挑戦を後押しする」というヤンマーの価値観「HANASAKA(ハナサカ)」を体現する、地下3階・地上14階の複合施設。その表玄関となる同ギャラリーは、米の魅力を楽しみながら学べるコンテンツが並ぶ体験型施設だ。東京駅から見た正面のスペースには、米とともに歩んだ同社を象徴するトラクターが展示され、ひときわ目を引く。クリエイティブディレクタ―の佐藤可士和氏がディレクションを行い、展示空間の内装には稲藁が使われている。
案内してくれた広報スタッフは「ヤン坊マー坊をご存じの世代に比べてヤンマーに対する若い世代の認知度はあまり高くありません。米の魅力を伝えるギャラリーなどを通してブランド発信したいという狙いも込めています」と話す。
会場には、8つの質問に答えると「山田錦」「ミルキークイーン」など自分の性格にあった米が診断できる人気コンテンツ「お米の性格診断」をはじめ、米作りの問題と解決をサイコロ型のオブジェクトで見つける「お米づくりの知恵」、世界の米料理の作り方や豆知識を学べる「お米の料理マップ」と、ゲーム感覚で学べるコンテンツが配置。さらに1900年代からの米作りの発展を動画を上映するコーナーなどもある。
オープンから4か月。来場者数は当初見込みの2倍近くに達しているという。週末はファミリー層が中心で、平日はオフィスワーカーが立ち寄ることも多い。楽しんだコンテンツをSNSでアップしたり、トラクター前で記念撮影をしたりと楽しみ方はそれぞれだ。
広報スタッフは「お米について楽しく学べるとの反響をいただいていますし、自治体から視察の依頼なども寄せられています。東京駅に直結した場所で訪日観光客も多いので、多言語化も含めてアップデートしたいと考えています」と今後のギャラリーの展開について話した。
「お米と楽しむイタリアン」の魅力とは
レストラン「ASTERISCO(アステリスコ)」
「YANMAR TOKYO」の2階にオープンしたのが、「ヤンマーマルシェ」直営のイタリアンレストラン「ASTERISCO(アステリスコ)」。店名は、日本語の「*米印」、英語のアスタリスクを意味するイタリア語で、おいしいものに印をつけてほしいとの思いを込めて名づけられた。「お米と楽しむイタリアン」をコンセプトとする。
メニューに米をふんだんに取り入れているのが特徴だ。使用するのは、鳥取県日南町の特別栽培米。海藻の有機肥料を使って作られた米でミネラル豊富でうまみが強いという。この素材をイタリアンでは珍しい羽釜でふんわりと炊き上げる。
この米をイタリアンらしく開発した逸品の1つが「ホワイト卵とトリュフのリゾット」で、一部のコースメニューで提供されている。また、米焼酎を使った「お米のティラミス」などデザートにも米が使われ、ポン菓子がたっぷりトッピングされている。
「ホワイト卵とトリュフのリゾット」
同店は、ディナータイムに小皿料理をワゴンサービスでスタッフが食材の魅力や生産者のストーリーを説明しながら提供する対話型サービスも行っている。スタッフは「生産者のこだわりの食材と料理人、そしてお客さまがつながるレストランにしたいと考えています」と話す。
さらに同店舗が進めるのは、自治体とコラボしたイベント展開。今年3月には「全国首長丼プロジェクト」第一弾として、「熊本ぎゅうぎゅう丼」を開発、お披露目イベントには熊本県知事にくまモンも駆けつけた。地域への愛情が詰まった丼メニューを開発して地域の「食」の魅力を発信しようと、熊本産米の「くまさんの輝き」と厚切りの「くまもと黒毛和牛」を使った丼が期間限定で提供された。

くまモンも駆けつけた「熊本ぎゅうぎゅう丼」のお披露目イベント(3月23日)
現在、第二弾に向けて自治体と調整中。同店は客席が100席に上るうえ設備も整い、企業からイベント相談なども寄せられている。スタッフは「生産者や消費者をはじめさまざまな人が集まって新しい情報や体験を発信していく、今年はチャレンジの年にしたいと思っています」と、同店の可能性について語った。
東京のど真ん中から米の新たな魅力発信 「YANMAR TOKYO」を訪ねて(2)は24日に掲載します。
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