レジェンドが残した「のらぼう菜」川崎市多摩区の伝統野菜が大人気2021年3月4日
川崎市多摩区の伝統野菜「のらぼう菜」が最盛期を迎えている。甘みのあるやわらかい食感が特徴で、地域だけでなく市内外からも買いに来るほど人気があるという。
"のらぼう菜"レジェンドの故髙橋孝次さん
のらぼう菜は、神奈川県では川崎市北部と小田原市を中心に、埼玉県比企郡、東京都西部地区(あきる野市)でも栽培されているアブラナ科の一種。川崎では8月下旬から9月中旬に種をまき、2月末から収穫が始まる。4月末まで収穫でき、収穫期間約3か月という生命力の強い野菜で、ナバナと違って苦みが少なく、甘みのあるやわらかい食感が特徴だ。
現在、川崎市では多摩区、麻生区など市中北部の各区で約150軒の農家がのらぼう菜を栽培しており、作付面積は市内で計約3.3ヘクタール。年間の生産量は約13トンに及び、川崎市を代表する野菜といえる。多摩区では、鎌倉時代、源頼朝の妻、北条政子の妹が稲毛三郎重成(多摩区域領主)に嫁いだ際、嫁入り道具のひとつとして鎌倉からのらぼう菜のタネを持ってきたことから、多摩区・菅地区にのらぼう菜が伝わったと言われている。菅地区ののらぼう菜は「菅ののらぼう」と言われ、その美味しさから、市外からも買いに来るほど人気が高い。
多摩区名産の「のらぼう菜」昨年12月、88歳で亡くなった髙橋孝次さんは、菅地区で"のらぼう菜"のレジェンドと言われた栽培の名手だった。鎌倉時代から農業を営む農家を受け継いで代々のらぼう菜を栽培してきた高橋さんは、10アールほどの畑で約3000株を栽培。髙橋さんののらぼう菜は、「春になっても茎が太くて甘く、やわらかくて美味しい」と好評で、最盛期には1日100袋が昼過ぎには売り切れるほど。高橋さんは「この地区に伝わるのらぼう菜を広めたい」と、栽培方法を地域の農家に伝授し、2001年には「菅のらぼう保存会」を立ち上げた。また、約40年にわたり市内の小学校で食育の授業を行い、2015年には日本特産物協会が選ぶ「地域特産物マイスター」に、県内2人目として認定。のらぼう菜の栽培にかけた高橋さんの人生は、昨年10月、『のらぼう菜 太茎多収のコツ』(農文協刊)として出版された。現在は、高橋さんの奥さんとサポートスタッフ2人が栽培方法を受け継ぎ、髙橋さんののらぼう菜を継承している。
のらぼう菜は寒さが強くなるほど大きく成長し、収穫初期(2月下旬~4月中旬)は、糖とアミノ酸を多く含む。濃く、しっかりとした味で、生のままサラダにして食べるとのらぼう菜の濃い味が、柑橘系のさっぱりしたドレッシングとよく合う。終期(4月下旬~)になると、アミノ酸が減る分、より甘みを感じられ、おひたしやごま和えにして食べるのがおすすめ。また、のらぼう菜にはビタミンCも多く含まれ、柑橘系のフルーツやバナナと合わせたスムージーで、手軽に栄養補給できる。
多摩区内では老舗和菓子屋「菓聖 はしば」がつくる「のらぼう菜カステラ」やキムチ専門店「おつけもの慶」が開発した「のらぼうキムチ」が春の名物として人気がある。
「のらぼう菜」は川崎市内のJA直売所または、各農家の直売所で購入できる。
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