タイで日本品種いちご収穫・販売 2回目のシーズン開始 日本農業2023年2月17日
2023年1月、株式会社日本農業の海外農業部が取り組むタイでの日本品種いちご「SAKURA ICHIGO」の生産が2回目のシーズンを迎え、本収穫が始まった。2022年の販売好調を受け今年は、タイ国内のハイエンド向けスーパーマーケットSiam Paragon、Gourmet Market、Foodlandと、日系スーパーマーケットのマックスバリュー、Tesco LotusやECサイトなど、様々なチャネルでの販売を予定している。

同事業は、近年日本の農業界で問題となっている、日本品種の海外への流出・無断栽培による、品種ロイヤルティ獲得の機会損失・日本からの農産物輸出の2つの機会損失を防ぎ、日本の優良品種と技術を海外で正当に活用・マネタイズすることで、「日本の農業界へ還元可能な海外農業ビジネスモデル」の確立を目的に発足した。
同社は九州地方の品種開発者とパテント使用・費用についての独占契約を結び、日本品種のいちごである「SAKURA ICHIGO」(日本農業登録商標) をタイで生産・販売。品種保護施策として、栽培園地のモニタリング、商標獲得等を実施、品種保護活用のスキーム構築・最適化に注力している。
生産面では、生育環境の違うタイでの日本品種いちごの安定的かつ大規模に生産するため、2020年からタイ北部チェンマイで、JETRO支援の下でのハウス栽培の実証実験を開始。熱帯気候でのいちご栽培を可能とする環境制御システムやスポットクーリング技術の実証を経て、2022年に実験を終了し、大規模生産に向けた調整段階に入った。
「SAKURA ICHIGO」は、タイ現地で生産することで、生産・流通コスト削減が可能。日本から輸入される高価格帯のいちごに比べ安価な日常消費品目でありながら、従来の現地産より高品質という付加価値を持つ。初収穫分の店頭での売れ行きは好調で、同社タイ現地法人が行った消費者調査でも高い評価を得ている。特に、日本品種いちごの特徴である「タイ産に比べて香りが豊か」や「ジューシーで甘い」といった点が高く評価される傾向にある。
前シーズンからの好調を受け、今シーズンのタイ国内の「SAKURA ICHIGO」の販売店舗数は拡大しており、同いちご品種の生産面積拡張を計画している。
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