共生と提携のコミュニティ農業へ

- 著者
- 蔦谷栄一
- 発行所
- 創森社
- 発行日
- 2013年1月22日
- 定価
- 1600円+税
- 電話
- 03-5228-2270
- 評者
- 佐藤加寿子 / 秋田県立大学准教授
本書は「『コミュニティ農業』の価値と可能性」を打ち出すことをねらいとしている。「コミュニティ農業」とは、[1]生産者と消費者、[2]地域コミュニティに重なる農家と地域住民、[3]農村と都市、[4]人間と生物・自然のなかで、[4]を前提としながら[1]、[2]、[3]の関係性によって成り立たさせてゆく農業で、有機農業、産消提携、農都共生、地産地消、農商工連携などの取組みを統合しながら目指してゆくもののようである。具体的な取組みのイメージは第5章以降で紹介される様々な事例から読み取ることができる。
自ら行動したくなる先例集
埼玉県小川町・霜里有機モデル地域、長野県・飯島町営農センターと田切農産、横浜市の都市農業維持・発展の取組み、武蔵野市で会員制直売と有機農業に取組む清水農園、イタリア版CSA(欧米版の産消提携)であるGAS、筆者が山梨市で展開する田舎体験教室である。
日本農業全体がコミュニティ農業へと転換していく道筋を筆者は「まずその主体をなす生産者や消費者等は(中略)さまざまな農業や食についての思いを、ごく身近なところから行動レベルで表現していくところから始めていくことが必要となる」(286頁)としている。本書は、思いある人々へ行動を呼びかけ、行動を起こす際の参考になる、あるいは行動を起こしたくなる先例集となっていると言えよう。
著者は世界で展開されるコミュニティ農業の取組みを「工業社会・管理社会から生命原理に立った農的社会を目指そうとする流れへの変化」と位置づけ、「時代は文明から文化への転換を告げている」としているが、それはやや早計ではないか。TPP問題の浮上に見られるように、現在は両者のせめぎ合いの真っ只中と言えよう。著者も本文で触れているとおり、日本農業をまず総体として維持できるような施策を作らせることが欠かせない。それと同時にコミュニティ農業に取組んでゆくことは大いに意義があると思う。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】カンキツ類に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 高知県2025年10月17日
-
(457)「人間は『入力する』葦か?」という教育現場からの問い【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月17日
-
みのりカフェ 元気市広島店「季節野菜のグリーンスムージー」特別価格で提供 JA全農2025年10月17日
-
JA全農主催「WCBF少年野球教室」群馬県太田市で25日に開催2025年10月17日
-
岐阜の飛騨牛や柿・栗など「飛騨・美濃うまいもん広場」で販売 JAタウン2025年10月17日
-
JA佐渡と連携したツアー「おけさ柿 収穫体験プラン」発売 佐渡汽船2025年10月17日
-
「乃木坂46と国消国産を学ぼう!」 クイズキャンペーン開始 JAグループ2025年10月17日
-
鳥取県で一緒に農業をしよう!「第3回とっとり農業人フェア」開催2025年10月17日
-
全地形型プラットフォーム車両「KATR」、レッドドット・デザイン賞を受賞 クボタ2025年10月17日
-
農業分野初「マッスルスーツSoft-Power」と「COOL-VEST」を同時導入 イノフィス2025年10月17日
-
伝統のやぐら干し「産直大根ぬか漬けたくあん」がグッドデザイン賞受賞 パルシステム2025年10月17日
-
鳥インフル 米モンタナ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月17日
-
鳥インフル 米アイダホ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月17日
-
生産者・消費者協議会「第14回青果フォーラム」開催 パルシステム連合会2025年10月17日
-
リジェネラティブ農業「種まき体験プログラム」藤沢市で初開催2025年10月17日
-
ランチにキウイで栄養課題に挑む オイシックスと特別コラボ実施 ゼスプリ2025年10月17日
-
デルフィニウムの新シリーズ「キャンドルiQ」3品種を発売 サカタのタネ2025年10月17日
-
カインズ オリジナル商品・取り組みが「グッドデザイン賞」を受賞2025年10月17日
-
「北海道くしろのふれあい祭り 秋の収穫祭」開催2025年10月17日
-
「第7回冷凍レシピコンテスト」結果発表 日本野菜ソムリエ協会2025年10月17日