FTA戦略下の韓国農業

- 著者
- 品川 優
- 発行所
- 筑波書房
- 発行日
- 2014年4月24日
- 定価
- 本体2800円+税
- 電話
- 03-3267-8599
- 評者
- 森泉 / ジャーナリスト
韓国では2014年4月16日、同国南部の珍島で「セウォル号」遊覧船が沈没する事件が起きた。人命より収益、他人より自分を優先した目先利益主義で、293人が死亡し11人が行方不明となった。
自由貿易協定で豊かさは得たか
セウォル号の事故では、その大半が、次世代を担う中学生だった。これは、貧富格差拡大など様々な社会問題を横目に、経済発展を優先する同国の国づくりの縮図に映る。
同国政府は、自由貿易協定(FTA)こそ「輸出拡大」「雇用創出」につながり、国民がハッピーになると謳う。しかし、農業だけではなく、医療、教育、鉄道などで様々な問題が深刻化し、制度改善を求める大小デモが毎日のように行われている。 農家所得は、すでに非正規労働者並みと低下した。著者は、各種データを基に、自分の現地調査を加え、同国政府の「ウソ」を暴く。
まず、「輸出拡大」のウソ。FTA先行利益論では、日中韓3カ国のなかで、韓国の米国向け輸出増加率が最も高いはず。しかし実態は「日本が最も高く、次に中国、韓国の順」だ。
次に、「雇用創出」のウソ。政府は、輸出拡大を前提に雇用創出を期待する。しかし、企業の海外進出が進み、国内の空洞化に加え、安価な輸入物による国内企業の倒産で失業者が続出する。そのため、FTAが「必ずしも大きな雇用創出効果があるとはいえない」と指摘する。
著者は、チリ、米国、欧州連合(EU)とのFTA内容や影響、関連政策を詳しく分析し、現地農家の対面調査も行った。内容が分かりやすく、客観的で説得力がある。危ない船(FTA推進策)に乗りたくなければ、ぜひ一読してほしい。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】ブロッコリーの黒すす症状 県内で初めて確認 愛知県2025年7月3日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 富山県2025年7月3日
-
【注意報】花き類、野菜類、ダイズにオオタバコガ 県内全域で多発のおそれ 愛知県2025年7月3日
-
【注意報】ネギ、その他野菜・花き類にシロイチモジヨトウ 県下全域で多発のおそれ 富山県2025年7月3日
-
【注意報】りんご、なしに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 宮城県2025年7月3日
-
【注意報】ねぎにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 宮城県2025年7月3日
-
【注意報】セイヨウナシ褐色斑点病 県内全域で多発のおそれ 新潟県2025年7月3日
-
【注意報】いね 斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 山形県2025年7月3日
-
米生産に危機感 高温耐性品種など急務 日本作物学会が緊急声2025年7月3日
-
【人事異動】農水省(7月4日付)2025年7月3日
-
花産業の苦境の一因は生け花人口の減少【花づくりの現場から 宇田明】第63回2025年7月3日
-
飼料用米 多収日本一コンテストの募集開始2025年7月3日
-
米の民間在庫量 148万t 備蓄米放出で前年比プラスに 農水省2025年7月3日
-
【スマート農業の風】(16)温暖化対応判断の一助にも2025年7月3日
-
令和7年度「家畜衛生ポスターデザインコンテスト」募集開始 農水省2025年7月3日
-
農業遺産の魅力発信「高校生とつながる!つなげる!ジーニアス農業遺産ふーどコンテスト」開催 農水省2025年7月3日
-
トロロイモ、ヤマノイモ・ナガイモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第347回2025年7月3日
-
【JA人事】JA町田市(東京都)吉川英明組合長を再任(6月26日)2025年7月3日
-
【JA人事】JAふくおか嘉穂(福岡県)笹尾宏俊組合長を再任(6月26日)2025年7月3日
-
国産農畜産物で料理作り「全農親子料理教室」横浜で開催 JA全農2025年7月3日