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【コラム・目明き千人】どの矢も農業の的には当たらない2013年7月24日

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【原田 康】

 安倍内閣がますます元気になって第4、第5の矢を放つこととなろうが、何本打っても農業には"的外れ"となろう。
 景気の回復ムードに乗って人気が出ているが、生産と消費の拡大に裏打ちされた実体経済による回復ではなく株価に加えて円・ドル相場を加えたマネーゲームによる見かけの景気をマスコミも動員して選挙向けの演出が効果を上げた。

 株価は本来、株式を発行した会社の業績により変動するものであるが、日本の現在の株価はアメリカのオバマさんやバーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長の発言、アメリカの雇用統計のようなものによって動いている。株の業界では日本の毎日の株価の変動はニューヨークの株価の影響が60%以上というのが定説である。
 株や為替の売買で儲けようとする人にはこれも結構なことであるが、自然を相手の農業はこれでは困る。額に汗をして長い期間をかけて育てた野菜や果実を売る時になってバーナンキ議長の発言で価格が大幅に下がるという事態を考えてみただけでも農業がマネーゲームの外にあることで救われる。
 安部内閣は成長戦略の柱の一つとして日本の農業の国際競争力をつけると言い出して農業・農村の所得倍増、農産物・食料輸出拡大、コメの生産費大幅削減などキャッチフレーズを並べているが、これらを本気でやるためにはアベノミクス流にいえばマネーゲームとは「異次元の政策」が必要となる。コメの減反政策の見直し、大規模化のための農地の集約、異業種の農業への参入などは総論としては必要な政策であるといえるが本音のところは農地の不動産としての資産化が透けて見えている。マネーゲームの最大の投資材料となる土地をどこから手に入れるかであろう。
 株価と同じようなアメリカの要人の発言で日本の農産物の価格が上下するようなことのないように、これから放たれる矢をよく見ておくことが必要な状況となった。さらに、7月23日からTPPへの参加で各国との交渉が始まった。これまでの自民党の歴代の政府の農産物の関税交渉の結末は掴みで農林予算を大幅に増額することでお茶を濁してきた。これも目の離せない状況だ。

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