【コラム・キサクな老話】お年玉は下駄2013年12月6日
新年を迎えるにはやらねばならぬ仕事が教え切れない程あった。まず降雪の無いうちに冬囲いだ。強烈な海風に耐えるには20cmくらいの丸太を建物の幅に合わせ数本立てるが、毎年穴掘りは大変なので、春の撤去の際、穴に藁束を詰めて置く。横には太めの竹を結(ゆ)わえ、萱簾(軒先が隠れる高さ)の物を立て、竹で支えの縄針を後ろで受けて返すのも子どもの役目だ。手が悴(かじか)んで、嫌な手伝いの一つだ。
一年使用した農具をかたづけ、大根干葉など取り入れ、大掃除がくる。古い家では、座敷は昼、居間等は筵(むしろ)でこれを外に出し、二人で棒を持って叩いて干し、床下の掃除、天井の煤を払い最後は拭き掃除で終わる。
わが地方の祝い事のご馳走は、ことごとく餅とうどんであった。だから新年を迎えるには餅搗きが欠かせない。神仏の供え飾り餅、前玉12本(12か月を意味する)の結束した藁を穂に見立て、小さく餅を巻つけて神棚の両脇に飾る。
手早くしないと餅が固くなって大変。日常使用される道具に供する餅、神社、仏閣に持参する餅、食用は白餅と米粉餅(うるち小米粉半分入れる)等、5臼も搗かねばならぬから大変である。
餅搗きにはあいずらが必要で、その手加減で搗く人の難易が決まる。日常米粉餅は女性が主に食べたから健康で長生きしたのかも知れない。大晦日の年取りの夕食は、その家の正餐でお膳におひら付きであった。
元旦の朝は年男が若水を汲み、神仏に供え豆殻を焚いて餅を焼いて黄粉、昆布、干し柿で家族分を作り、初詣は神社、石碑、仏閣に詣で、帰宅して、作られた餅で口祝いと称する歯固め食を経て朝食となる。
正月の楽しみは、老若男女を問わずお年玉であるが、お金ではなく、下駄や女性には腰巻き、下着、男性も下着類であり、若い連中は休み日が続くことであった。年始客が来ると子ども達はお金でお年玉が戴けるが、子ども達は使い方も知らない状況で、私の最初は小学3年時に「幼年クラブ」を買いに行ったのが最初である。
正月の遊びは、羽子板、双六、煎餅突き,みかん突き、花札等であった。そんな単純なもので満足していたのであった。
これらの年間行事は総て稲作に絡んだものであるが、稲作の衰退で今後、いかなる行事が発生するのであろうか。所詮テレビの僕くらいしか無いのかナー。
重要な記事
最新の記事
-
(394)Climate stripes(気候ストライプ)【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年7月26日
-
地域医療の実態 診療報酬に反映を JA全厚連が決議2024年7月26日
-
取扱高 過去最高の930億円 日本文化厚生連決算2024年7月26日
-
【人事異動】JA全厚生連 新理事長に歸山好尚氏(7月25日)2024年7月26日
-
【警報】果樹全般に果樹カメムシ類 県下全域で最大限の警戒を 鳥取県2024年7月26日
-
【注意報】イネに斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 山形県2024年7月26日
-
今が旬の「夏酒」日本の酒情報館で提案 日本酒造組合中央会2024年7月26日
-
ヤンマーマルシェ、タキイ種苗と食育企画「とりたて野菜の料理教室」開催 カゴメ2024年7月26日
-
「ごろん丸ごと国産みかんヨーグルト」再登場 全国のローソンで発売 北海道乳業2024年7月26日
-
物価高騰が実質消費を抑制 外食産業市場動向調査6月度2024年7月26日
-
農機具王「サマーセール」開催 8月1日から リンク2024年7月26日
-
能登工場で育った「奇跡のぶなしめじ」商品化 25日から数量限定で受注開始 ミスズライフ2024年7月26日
-
東京・茅場町の屋上菜園で「ハーブの日」を楽しむイベント開催 エスビー食品2024年7月26日
-
鳥インフル 米国オハイオ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2024年7月26日
-
大玉すいか販売大幅減 小玉「ピノ・ガール」は前年比146.8% 農業総研2024年7月26日
-
千葉県市原市 特産の梨 担い手確保・育成へ 全国から研修生募集2024年7月26日
-
水産・農畜産振興 自治体との共創事例紹介でウェビナー開催 フーディソン2024年7月26日
-
新規除草剤「ラピディシル」アルゼンチンで農薬登録を取得 住友化学2024年7月26日
-
自由研究に「物流・ITおしごと体験」8月は14回開催 パルシステム連合会2024年7月26日
-
高槻市特産「服部越瓜」の漬け込み作業が最盛期2024年7月26日