在庫圧力で米価続落2014年2月10日
農水省の資料によれば、昨年12月の米価は、また下がった。この資料は昨年9月から13年産米の米価に代わったが、それ以降、3か月連続して米価が下がった。この時期としては異例のことである。
米価下落の理由は、在庫圧力と言っていい。例年の在庫量は、11月をピークにして、それ以後だんだん減るのだが、13年産米は、11月から12月にかけて、ほとんど減らなかった。
新農政の、いわゆる減反廃止によって、米の生産量が増え、在庫圧力で米価が下がることを、市場が先読みしていると思われる。
この事態を政府は、どのように考えているのか。米価の下落はいいことだ、と考えているのか。それとも、新農政を、さっそく見直すのか。

上の図は、08年9月から昨年12月までの在庫量と、各年産の米価とを月別に詳しくみたものである。
在庫量には、各年とも酷似した顕著な月別変化のパターンがある。出来秋の11月をピークにして、それ以後、端境期まで減り続ける、というパターンである。
昨年も11月がピークだったが、翌12月には1万トン減っただけで、ほとんど減らなかった。そして、12月としては、この期間で最大の在庫量になった。
◇
つぎに、図の中の米価をみよう。
米価が10月から12月まで、3か月のあいだ連続して下がったのは、昨年産米を除けば09年産米だけである。
この09年産米の米価は、その後1年間下がりつづけた。そして、翌年の10年産米は、さらに一段と下げ、1万3000円を大きく下まわる下落になった。
この09年産米と10年産米の米価下落は、13年産米と14年産米の米価にとって、不吉な前例になるのだろうか。
◇
国会論議を聞いていると、米価が下げることはいいことだ、と考える議員がいる。
米価を下げれば国民が喜ぶ、というのだが、そうだろうか。
目先だけを考える一部の国民は喜ぶかもしれない。だが、大多数の国民は、その後のことを考える。
米価を下げれば、農家は採算がとれなくなる。やがて多くの農家は米作りを止める。そうなると米不足になり、輸入することになる。主食の米さえも外国に依存することになる。
そうなっていいのか。政治家の基本的な哲学が問われる問題である。外国に食を乞うことがいいことなのか。
◇
解決策は2つしかない。
過剰な在庫米が発生すること自体を防いで、米価の下落を断つか、それとも、過剰になったら、それが米価を下げる原因になることを防ぐか、である。
新農政は、過剰な在庫米の発生を防がないで、過剰米を飼料米にする、という。そうなら、過剰米の一部を飼料にする、などという矮小な政策でなく、米価の下落を防げるような政策にしなければならない。
そうして、外国に食を乞うことのない、普通の品位がある国にしなければならない。
(前回 新農政は政府の責任放棄)
(前々回 安倍首相が減反廃止の無責任演説)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
米粉で地域振興 「ご当地米粉めん倶楽部」来年2月設立2025年12月15日 -
25年産米の収穫量746万8000t 前年より67万6000t増 農水省2025年12月15日 -
【年末年始の生乳廃棄回避】20日から農水省緊急支援 Jミルク業界挙げ臨戦態勢2025年12月15日 -
高温時代の米つくり 『現代農業』が32年ぶりに巻頭イネつくり特集 基本から再生二期作、多年草化まで2025年12月15日 -
「食品関連企業の海外展開に関するセミナー」開催 近畿地方発の取組を紹介 農水省2025年12月15日 -
食品関連企業の海外展開に関するセミナー 1月に名古屋市で開催 農水省2025年12月15日 -
【サステナ防除のすすめ】スマート農業の活用法(中)ドローン"功罪"見極め2025年12月15日 -
「虹コン」がクリスマスライブ配信 電話出演や年賀状など特典盛りだくさん JAタウン2025年12月15日 -
「ぬまづ茶 年末年始セール」JAふじ伊豆」で開催中 JAタウン2025年12月15日 -
「JA全農チビリンピック2025」横浜市で開催 アンガールズも登場2025年12月15日 -
【地域を診る】地域の農業・農村は誰が担っているのか 25年農林業センサスの読み方 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年12月15日 -
山梨県の民俗芸能「一之瀬高橋の春駒」東京で1回限りの特別公演 農協観光2025年12月15日 -
迫り来るインド起点の世界食糧危機【森島 賢・正義派の農政論】2025年12月15日 -
「NARO生育・収量予測ツール」イチゴ対応品種を10品種に拡大 農研機構2025年12月15日 -
プロ農家向け一輪管理機「KSX3シリーズ」を新発売 操作性と安全性を向上した新モデル3機種を展開 井関農機2025年12月15日 -
飛翔昆虫、歩行昆虫の異物混入リスクを包括管理 新ブランド「AiPics」始動 日本農薬2025年12月15日 -
中型コンバインに直進アシスト仕様の新型機 井関農機2025年12月15日 -
大型コンバイン「HJシリーズ」の新型機 軽労化と使いやすさ、生産性を向上 井関農機2025年12月15日 -
女性活躍推進企業として「えるぼし認定 2段階目/2つ星」を取得 マルトモ2025年12月15日 -
農家がAIを「右腕」にするワークショップ 愛知県西尾市で開催 SHIFT AI2025年12月15日


































