地方経済の復興は農業振興から2014年3月3日
失われた20年といわれ、経済の停滞が20年間も続いたが、全国の農村部や都市部で、おしなべて停滞していたわけではない。東京を始めとする関東以西の太平洋側の各県は、僅かではあるが経済が拡大した。その陰で、北日本や日本海側の各県の地方経済は縮小した。
政府は農村の所得倍増などというが、20年間続いたこの勢いを変えられるだろうか。
TPPに加盟して、農業に犠牲を強いれば、この勢いは変えられるどころか、さらに勢いを強めるだろう。
上の表は、最近の2010年と、失われた20年が始まる1991年の県民所得を比較したものである。図はその増減を地図にしたものである。
この表と地図から分かることは
1. この失われた20年の間でも、東京など関東以西の太平洋側の各県は所得を増やした。増やしたとはいっても、東京でさえ年率で僅か0.5%以下の増え方だったが。
2.他方で、北海道と東北の全県と、北陸と山陰の多くの県で所得を減らした。この地域は、ほとんどが農業県で、ことに米や畜産などの土地利用型農業の立地県である。この地域の停滞は、地域経済の基盤である農業の衰退に起因している、といっていい。
低所得県の上に、高所得県の利益が滴り落ちなかったのである。これが20年間の冷厳な事実である。そうして地域格差が広がった。TPPが、それに追い討ちをかけようとしている。
◇
問題は、米などの土地利用型農業にある。土地利用型農業の振興なくして、農業の再生はないし、農村の復興はないし、低所得県の復活はない。他県の利益は滴り落ちない。
いまの内閣は、農村の所得を倍増するというが、農業や農村の実態を知らないし、政治に無責任な「有識者」たちの、机上の「空論」にさえならない机上の「思いつき」で、農政を動かそうとしている。これでは、とうてい所得倍増は達成できないだろう。
(前回 TPP、日本政府の本音と誤り)
(前々回 地方衰退、首都圏隆盛でいいのか)
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