日豪EPAの国会批准2014年5月12日
TPPにかくれて、日豪EPAがかすんでいる。
日豪間の大筋合意の内容(本文下の資料)をみると、畜産物の関税は軒並み半分に減らす、というものである。これは、TPPにおびえて、急いで合意したもので、韓米FTAがミニTPPといわれているように、この日豪EPAもミニTPPといっていいほどの、ひどい内容である。
韓国では、韓米FTAの政府間合意から、国会の批准をへて発効するまでに5年かかった。その間にも、激しい反対運動が韓国を揺るがした。
日豪EPAはどうなるのだろうか。国会は、すんなりと批准するのだろうか。
北海道の酪農家などは、将来を悲観して脱農する農家が増えはじめようとしている。
酪農家だけではない。養牛農家や養豚農家や養鶏農家への影響も甚大である。北海道だけではない。深刻な影響は、もう1つの畜産基地といわれる南九州など、全国へ及ぶだろう。
このまま、国会の批准を見過ごしていいのだろうか。
◇
日豪EPAは、TPPをみすえて、関税をよりおだやかな引き下げに抑えよう、として合意を急いだのだという。そうして、TPPもこの線で合意しよう、というのだ。
だが、それは国会決議に反して「聖域」を踏みにじった合意であることは明らかである。
その上、ここで合意すれば、TPP交渉は、ここが出発点になって、より大幅な関税引き下げを要求されるだろう。マスコミの報道によれば、さっそく、アメリカは日豪EPAで合意した関税の半減を、さらに半減すること、つまり、4分の1に削減することを要求しているようだ。
◇
こうした状況のなかで、日豪EPAの国会批准を、だまって見過ごしていいのだろうか。自民党の農林部会は、すでに容認したようだ。
日豪EPAは、以前から言われているようにTPPの前哨戦である。ここで、すんなりと国会批准を許してしまえば、今後のTPP反対運動に大きく影響するだろう。反対運動の力量を見くびられてしまうだろう。
自由貿易に反対する反市場原理主義の運動は、今後も長く厳しい展開をみせるだろう。日豪EPA反対運動は、その重要な一環なのである。
もしも、ここで日豪EPA反対の矛をおさめて、国会の批准を容認し、実施後の対策を要求することに、運動の重点を移せば、TPP推進派からのゴネドクという激しい非難を受けるし、おなじ反TPP派からの抜きがたい不信を招くだろう。
日豪EPA大筋合意の概要は … コチラのリンクから
日豪EPA畜産物関係の合意内容は … コチラのリンクから
(前回 反TPP運動が新しい時代を切り拓く)
(前々回 TPPという自由貿易体制は悪だ)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日