【コラム・目明き千人】農協組織は逆三角形です2014年6月5日
政府の「有識者」による規制改革会議などが農協改革の答申を出している。
有識者やマスコミに共通しているのは、農協組織を三角形のイメージで見ていることである。
底辺に単位農協(単協)がありその上に県の連合会、頂点に全国連があるという三角形である。頂点の全中や全農、全共連、農林中金などが全体を指導、コントロールをしているというイメージである。
事実はこれと全く逆である。農家、組合員が協同組合をつくる。これが一番上になる。農家は自分で直売をしたり、インターネットでの直接販売もしているがこれは点と点を結ぶような規模である。単協は独立した事業体として独自で事業を行っているが規模が小さく、品目、季節が限定され大都市から遠いことなどから連合会が事業の補完をしている。
◇ ◇
地方都市にもスーパーマーケットやショッピングセンターがあるが、これらの店の仕入れは各店舗ではなく東京にある本部による一括した仕入れ。バイイング・パワーの見本である。農産物の小売り段階の80%のシェアーを持つこれらの大型量販店への販売はとても単協では対応が出来ない。単協が集荷をした物を、県連や全農が年間を通した量販店の販売計画に対応をした品目、規格、数量、納期で全国の店舗に納入するという機能分担をしている。
販売の結果は出荷した農家に明細をつけて精算をしている。農協がこのような販売のルートを持っているので、農家はメインの販売は農協に任せて、プラスアルフアーの販売をいろいろとトライアルができる。
◇ ◇
全中や全農等は事業計画や方針を説明する時に、「おらが村は」ではなく全国に共通をする話し方をするので、全国の農協を代表するような印象を与えているが、内容はあくまで単協の事業の補完である。農家、組合員が一番上にあり単協、連合会へと広がる逆三角形の組織である。
政府からの任命の皆さんは会社の経営者や学者としての経験と、事務局が用意をしたペーパーの追認ではなく、北海道から沖縄、九州までの各地域の農家や農協がどのような事業をしているかをご自身で確かめてから議論をされるのが「有識者」のプライドではないですか。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(90)みどりの食料システム戦略 現在の技術で実現可能でしょ(4)2024年4月20日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(7)【防除学習帖】 第246回2024年4月20日
-
土壌診断の基礎知識(16)【今さら聞けない営農情報】第246回2024年4月20日
-
地域複合農業戦略に挑む(2)JA秋田中央会会長 小松忠彦氏【未来視座 JAトップインタビュー】2024年4月19日
-
農基法改正案が衆院を通過 賛成多数で可決2024年4月19日
-
【注意報】さとうきびにメイチュウ類 伊是名島で発生多発のおそれ 沖縄県2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:JA水戸 那珂川低温倉庫(茨城県) 温湿度・穀温 適正化徹底2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ対策を万全に 農業倉庫基金理事長 長瀬仁人氏2024年4月19日
-
食農教育補助教材を市内小学校へ贈呈 JA鶴岡とJA庄内たがわ2024年4月19日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第97回2024年4月19日
-
(380)震災時は5歳【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月19日
-
【JA人事】JA道北なよろ(北海道)村上清組合長を再任(4月12日)2024年4月19日
-
地拵え作業を遠隔操作「ラジコン式地拵機」レンタル開始 アクティオ2024年4月19日
-
協同組合のアイデンティティ 再確認 日本文化厚生連24年度事業計画2024年4月19日
-
料理酒「CS-4T」に含まれる成分が代替肉など食品の不快臭を改善 特許取得 白鶴酒造2024年4月19日
-
やきいもの聖地・らぽっぽファームで「GWやきいも工場祭2024」開催2024年4月19日
-
『ニッポンエール』グミシリーズから「広島県産世羅なしグミ」新発売 JA全農2024年4月19日
-
「パルシステムでんき」新規受付を再開 市場の影響を受けにくい再エネ調達力を強化2024年4月19日
-
養分欠乏下で高い生産性 陸稲品種 マダガスカルで「Mavitrika」開発 国際農研2024年4月19日
-
福島県産ブランド豚「麓山高原豚」使用『喜多方ラーメンバーガー』新発売 JAタウン2024年4月19日