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コラム:目明き千人

【原田 康】

2015.06.12 
豊かな老後は自分でつくる一覧へ

 東京都農林年金受給者連盟と協同組合懇話会は5月18日、東京・新橋の共栄火災本社ビルで慶友病院の大塚宣夫会長の講演会を開いた。協同組合懇話会代表委員の原田康氏に要旨を報告してもらった。

 慶友病院は、要介護の人を一括して受け入れて介護、リハビリ、医療、生活の全てを同じところで行うユニークな施設である。介護を必要とする人の衣、食、住をより良い雰囲気で、長生きよりも豊かな1日を大切にするところである。
 いわゆる「老人ホーム」といわれるところは、介護は出来るが病気になると病院に出され、あげくはあちこちとたらい回しされる例が多い。終身介護は、本当に必要な時の対応が出来るかが決め手である。
このような施設を見る場合、施設の内容のほか、スタッフの質と人数が参考になる。
 慶友病院は東京の郊外の青梅市とよみうりランドにある。青梅は1980年に開業したが、青梅の、当時の霞農協組合長・野崎省吾氏の全面的な支援があって開業をすることができた。慶友病院の大塚会長は当時、慶応大学医学部を出て同病院の精神科医であった。
 友人のおばあさんを預けられる介護施設を探していたが、その施設はあまりにも悲惨で、しかも入居希望者が何年も待っている実態を見て、自分の両親を安心をして預けられる施設を造ろうと決心した。とはいっても資産がないので貯金をして、土地を探しに青梅の霞農協に相談に行った。その時、野崎組合長がたまたま部屋を間違えて入って、大塚会長の話を聞くことになった。
 大塚会長はその後、組合長宅を何度も訪れ、組合長は土地の提供、借り入れの保証人になるなど、支援をすることとなった。1000坪に1.5億円147床の病院で開業をしたがすぐに満床になった。野崎組合長は、こんなに人の役に立つならば増設をと考え、借り入れの保証を引き受け3回の増築で700床、35億円の投資となった。
 その後2005年によみうりランド内に、子供のレジャーランドだけではなくシニアのレジャーランドとしてよみうりグループの支援で病院を作った。
 現在、青梅は736床で4人部屋、よみうりランドは240床で個室である。平均年齢と入院期間の平均は青梅が88歳、2年半。よみうりランドが86歳、1年である。快適に過ごすためにはそれなりの費用がかかる。一か月一人当たりの総費用は青梅で70万円、よみうりランド110万円となり医療保険や介護保険から平均して30万円から40万円くらい出るが、不足分を家族が負担をすることとなる。家族にとっては介護には体力、精神力、時間、経済的な負担等がかかるが経済的負担以外は病院で引き受けますということである。
 大塚会長は、病院の経営を通じて老後の過ごし方を30年にわたって見てきた経験から、老後といっても定年退職以降の過ごし方を、「豊かな老後は自分でつくる」ものとしてアドバイス。まず、65?75歳を前期として、この時代は自立の勧め、健康管理・体を作り直す、気力と判断力のあるうちに老後に必要な費用をしっかりと確保をしておく。
 75?85歳の中期は、働き続ける、人の迷惑にならない、臓器の寿命は70年と認識する。85歳以上の後期は、この年になったらもうジタバタしない、薬を飲まない、医者・医療の限界を知る、若い医者にはかからない、認知症の予防法はないので心配をするよりもやりたいことをすぐやる、である。
 このように各期間に合った生き方をするうえでのコツは、自分の自由に使える現金を持つことである。不動産のような資産を残すことよりも、いますぐ使える現金がよい。生きている間に有効に使う。
 行きたいところがあれば、一か月先、半年、1年先は分からないのですぐに行く。会いたい人があればすぐに行く。ポチ袋をいつも用意をしておいて孫が来ればお小遣いを渡す。老後の世話は家族や親族の負担になり金もかかり、誰が世話をするかが面倒な話となる。世話になる人に、病院や施設に払うことになる1日1?2万円を毎日現金で渡せば、孫を含めて介護の奪い合いになる。
 国の福祉政策には期待できない。世界の福祉国家といわれている国の事例も日本のような後期高齢者が急速に拡大して、国の政策が遅れているところではもう間に合わないので参考にならない。
 高齢の長い時間をどのように過ごすか面白いアドバイスが数多くあった。

大塚宣夫・慶友病院会長の講演から

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