【コラム・食は医力】第81回「人生の段階」別健康法2016年2月22日
健康に良い食事といっても、歳によって違ってくるのは当然といえば当然のこと。幼児と青年と老人では話はまるで違います。というわけで、今日は人生を追う形で食と健康を考えてみましょう。
◆幼児の偏食はノー
まず幼児から。脳や臓器が急速に形成されていく時期ですから、栄養のバランスは決定的に重要です。偏食は絶対にノーです。たとえば野菜嫌いは絶対に困ります。幼児期の食事の最大のテーマはこの点にあると言えるでしょう。
では偏食をなくすにはどうしたらよいか。思うには、①親が何でもおいしそうに食べてみせる、②親子で楽しく会話しながら食べる、③好きでないものを食べたら誉める、④嫌いなものは好物に刻み込んだりして徐々に量を増やしていく、など日々の対応こそが大事だと思うのですね。
なお幼稚園や小学校では、給食で不足ぎみなもの(私に言わせると豆および豆製品や緑黄色野菜)を朝夕に補うようにしてみましょう。
大事なことは、幼児期に味の好みが定着することです。お袋の味というのはこの頃のことであり、丁寧に心を込めて作った食べものの味覚は子どもに一生ついて回ります。
幼児期にファストフードやスナック類、合成調味料たっぷりの外食や中食の味に慣れ親しむと、その人の後半生の食は得てして貧しいものになりかねない。石塚左玄か水野南北がそう言っているのではないかと思って著書を探しましたが、やはり見つかりませんでした(でも今、生きていたら言っているでしょう)。
◆成長期には蛋白質を
次に中学生から20代までの成長期には、蛋白質は極めて大事です。動物性と植物性蛋白が豊富な食事を、量的な満足度も満たしてあげつつ用意してあげないといけません。
近年、若者の精神的不安定さが増しているように思われるので、ミネラル補給も大事です。子どもがひどく追い込まれている、あるいは言動が荒れてきたように思えたら野菜、海藻、ヨーグルトなどを意識して増やしましょう。
さらに女生徒や20代女性は体型を気にして減食したり偏食したりしがちですが、病気への抵抗力が落ちてしまうことのないよう、親として柔らかい誘導、さりげない対応を工夫してください。
◆中年は朝と昼重視で
続いて中年も難しい時期です。働き盛りで仕事や家庭のストレスも多く、偏った食事内容、不規則な食事時間、アルコール過多などが日常化しがちです(偉そうに、お前がそうだったじゃないか、と言われそうですが)。
ではどうするか。まず朝と昼重視で行きましょう。たとえば朝は五分づき米か雑穀入りに納豆、緑黄色野菜、漬物、具沢山の味噌汁、昼は魚定食とかおろしソバなど。残業や夜の付き合いは半分に減らして家で晩御飯、もいいものです。
特にビタミンB、C、Eを多く取るように心掛けて、体の抵抗力を高めましょう。これらは緑黄色野菜、豆類、乳製品、卵などに多く含まれています。
なお中年は更年期障害も含め精神的につらい時期でもあるので、カルシウムなどのミネラルとビタミンを十分に補給する必要があります。
その点、私のお勧めは海藻です。コンブ、ワカメ、モズク、ヒジキ、何でもいいですが、いちばん簡単なのはノリの八つ切りを缶に入れて食卓の上に常時置いておくことです。こうしてわが家はノリを常食します。
◆老齢期には海藻・乳製品が
さて老齢期はどうか。高齢者の蛋白質不足を警告するお医者さんの意見が新聞によく載りますが、豆腐、納豆、ユバ、黄な粉、ミソなど大豆から補給すれば大丈夫でしょう。わが家はそれで問題なく来ています。
一番の注意点は骨(特に高齢の奥方様)と筋肉の衰えでしょうから、海藻と乳製品をお勧めしておきます。頭の若さも体に劣らず大事なので青魚もときどき食べましょう。イワシと旬のサンマで頭の老化が防げれば安いものですよね。そして笑顔であの世へ旅立ちたいものです。
※「食は医力」は食品流通のシリーズから、コラムへ変更となりました。第79回までの掲載については【シリーズ:食は医力】より御覧いただけます。
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