民進党を怯ませる世論調査2016年9月12日
 民進党の代表選が、今たけなわである。しかし、なかなか盛り上がらない。マスコミは無視していて、あまり取り上げない。それよりも、アメリカの大統領選に、読者の目を引きつけようとしている。
 民進党のほうにも問題がある。候補者に、あまり強い意気込みが感じられない。自分が代表になって、次の総選挙で政権を取り戻す、と誓う候補者がいないからだろう。
 しかし、以下で見られるように、民進党が政権をとり戻す条件は充分にあるし、充分に可能である。だが、マスコミは不可能だ、という。それに惑わされて、民進党は意気消沈している。
 マスコミの世論調査が曲者である。


 上の図と表は、7月の参院選のときの、各政党の実際の支持率と、マスコミの世論調査の結果の各政党の支持率をみたものである。2つのグラフは同じグラフになるはずなのに、まるで違うグラフになっている。
 当時のマスコミ各社の世論調査を平均でみると、自民党の支持率は60%で、民進党は17%しかなかった。大差である。与野党の全体でみると自公の与党の支持率は67%で、民進党など野党全体で33%だった。そうして、マスコミは自民党と与党の圧勝と予測した。
 しかし、実際の支持率は、どうだったか。
 支持率を正確に表す参院選の比例区をみてみよう。自民党36%、民進党21%だった。大差といっていい。だが、与野党を全体で比較すると、様相が一変する。つまり、野党全体の支持率は51%で、半数を超えていた。このことを、特に指摘したい。
 当選した議員数でみると、たしかに与党が圧勝した。しかし、この圧勝は、国民の圧倒的な支持のもとでの圧勝ではなかったのである。それどころか、50%以下の支持率のもとでの勝利だった。自公の選挙協力など、手練手管を弄した上での、薄氷を踏むような勝利だったのである。
 以下で、2つのことを言いたい。民進党へのエールと、マスコミへの批判の2つである。
◇
 はじめに、マスコミを批判しよう。
 このマスコミの世論調査は、国民の政党支持率を推計するための調査だった筈である。しかし実際の政党支持率から遠くかけ離れている。つまり、大きく間違ったという致命的な誤りを犯している。そして、そのことを全く反省していない。それどころか、いつもの決まり文句のように、支持政党なしの国民が多いことを、醜い言い訳にしている。支持なし層は気まぐれだと言って、誤りの責任をなすりつけている。
 マスコミは、この支持なし層を含めて、正確な推計を行うように改善する努力をすべきではないか。支持なし層が、政治を大きく動かしているのだから。
 だが、そうした反省も努力もなく、同じ言い逃れを、長年のあいだ恥知らずに繰りかえしてきた。
◇
 マスコミは、利益追求を第一に考え、経営を重視して、自民党支持者が多い広告主、つまり、財界の意向を忖度しているようだ。そうして、実際の世論を歪んだ目で見て、実際の世論とは違う世論を捏造し、調査の結果だとして、厚かましく公表して憚らない。その結果、財界と自民党などの与党を力づけ、民進党などの野党を萎縮させている。
 これでは社会の公器でもないし、民主主義の守護神でもない。ひたすら私利私欲を追求し、経済的弱者を敵視する財界の、忠実な代理人といわれても、しかたがない。反省を求めたい。
◇
 つぎは、民進党へのエールである。
 上で述べたように、民進党をはじめ、野党への期待は、予想以上のものがある。しかし、民進党からは、政権奪還への沸き立つような熱い意志が伝わってこない。
 代表選をみていても、政権奪還の足がかりを作る、などと暢気なことを言っている。これでは、熱意は伝わらない。任期の3年間を難なく無事に務めたい、と無気力な官僚が言っているように聞こえる。
 ここには、マスコミが歪曲した世論に対する怯えがあるのではないか。民進党の支持率は小さい、とする捻じ曲げた世論調査の結果に怯んでいるのではないか。しかし、それは幻想にすぎない。幻想に怯んでいるのである。
 だから、代表選の候補者たちは、お詫びばかりを繰りかえしている。そんな後ろ向きのお詫びや反省は聞き飽きた。そんな言い訳ではなくて、政権を奪還するぞ、という奮い立つような強烈な言葉を聞きたい。
◇
 民主党は野党第一党として、野党全体の実際の支持率が、上の図で示したように半数を超えていることに、もっと自信を持っていい。誇りを持っていい。それは民進党の野党第一党としての実績である。
 代表選の各候補者は、それぞれが、政権奪還の道すじを示しながら、それを主要な論点にして競いあうべきだろう。野党第一党として、どのような道すじを経て、野党が今までのように、過半数の支持を持ち続けるか。そうして、政権を奪還するのか。各候補者は熱く語るべきだろう。
 具体的には、今年中に実施されるかもしれない総選挙で、過半数の野党支持を選挙結果に反映できるような選挙協力を、実現するかどうかである。
 今週の15日には代表選の結果がでる。農業者をはじめ、多くの国民が期待をもって注目している。
(2016.09.12)
(前回 植草一秀氏を農村で読む)
(前々回 反TPP運動の新段階)
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