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【小松泰信・地方の眼力】小泉笑劇場まもなく終焉2016年11月9日

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【小松泰信 岡山大学大学院教授】

毎週水曜日更新

◆謝罪と撤回で済むんですか

 まずは、渦中の山本有二問題。世の常識に基づけば、二度にわたる不謹慎な発言は辞任に値する。森、小泉、両元首相のころから政治家の言葉が軽くなったが、今回とくに気になるのが、〝謝罪と撤回〟でよしとする現政権の姿勢である。例えば、アカハラ、パワハラ、セクハラに抵触する発言を追及された時、「ごめんなさい。撤回します」で納めることを社会は許さない。
 えん罪の可能性があろうが、相手に少なからぬ問題があろうが、一度公の場にさらされたら、法的制裁よりも重い社会的制裁が加えられる。もちろん、再起不能状態におかれること間違いない。ここまで言えば結論は、「大臣職を辞するだけではなく、議員バッジも外しなさい」となる。おそらく、TPP承認を優先させるため、〝そのような些事?に時間をとられたくない〟という安倍氏の意向で、さらし者の刑に処せられているのであろう。でも、そのお仕置きはそちらの秘め事であって、 娑婆じゃあ通用しない。

◆山本有二の不利益供与を許してはならない

 多くの耳目が「冗談」発言に集まっているが、聞き捨てならないのは、「そこで最後に、JAの方が大勢いらっしゃるようなので、明日でも田所先生の紹介で農林水産省に来ていただければ、何か良いことがあるかもしれません」という件(くだり)である(東京新聞11月3日)。窮鳥(きゅうちょう)を懐に入れた猟師にでもなった気になり、JAグループの〝生殺与奪の権を握っている〟とでも言いたいのだろうが、お前はもう死んでいる。それも分からぬ、勘違い大馬鹿野郎のセリフそのもの。
 野党やマスコミは、「利益供与」として騒ぎ立てているが、それもまたありがた迷惑な話。心あるJAグループ関係者は、憤懣やるかたない思いのはずである。政権与党と農水官僚にこれだけいたぶられても、すがりついて命乞いをしている惨めなJAグループ、といったイメージの流布は、不利益供与、ネガティブキャンペーンそのものである。絶対に彼を許してはならない。

◆小泉進次郞の悪質なキャンペーン

 山本以上に悪質なキャンペーンを張っているのが小泉進次郞である。
 日本農業新聞(10月29日)には、28日に都内で開かれた時事通信社主催のセミナーで彼が語ったフレーズがいくつか紹介されている。「小泉進次郞は農協をつぶそうとしていると言われる。もしつぶすんだったら、何にもしない。放っておけばつぶれると思うから」「このままだったらつぶれる農協を立て直すことで、地方の再生につなげていきたい」「経営感覚にあふれる農家ほど農協を利用しなくなる。優秀な人が離れていく組織に未来はない。このままならそうなる」「その状況を放置していれば地方が駄目になる。だから私は農協をつぶそうとしているのではない」等々。
 週が明けた31日、私の農業協同組合論を受講し、JAグループへの就職を重要な選択肢の一つとしている学生が不安げな顔をして研究室に来た。
 要は、ネットでこれに関するニュースを知り、JAへの就職に不安を覚えた、実際の所どうなのか、という事であった。
 できるだけ冷静にJAグループをめぐる状況を説明したうえで、食料生産にとっても地域にとっても必要な協同組合であることを伝えた。
 ネットで日本テレビ系ニュース(28日21時35分配信)を見ると、「様々な動きが抵抗する側からあることも事実です。最後に泣きつけばもしかしたらなんとかしてくれそうだと思われる実力者のところに行って『なんとかしてください』と泣きつく。しかも連日。こういった動きが逐一耳に入っていることを、やっている側は気付かない」「農協は放っておけばつぶれる。農協を立て直すことで日本の地方の再生につなげていきたい」と、いつもの自信満々なしたり顔でしゃべっていた。何と傲慢な態度か。
 どうして、農業の衰退や地方の活力低下が農協の責任なのか。それが農産物を1円高く売り、生産資材を1円安く供給することで解決できるレベルのことなのか。その根拠については何も語っていない。悲しいかな、語るだけの知恵もない。
 
◆小泉進次郞の発言に犯罪の可能性あり

 日本農業新聞もニュース番組も、彼なりの手厳しい〝エール〟であるとか、辛口で改革の必要性を訴えている、といったフレーズで取りなそうとしている。しかし、その発言が農業協同組合で働きたいというわが教え子の意欲を削いだという事実、そして農協が「つぶれる」という言葉が、テレビで、ネットで、新聞でくり返し発信されていることなどを不問に付すわけにはいかない。一准組合員として決して心中穏やかな話ではないし、同じ心境の組合員はかなりの数に及ぶはずである。
 1973年12月、通学中の国鉄車内における女子高生の「信用金庫は危ないよ」という一言、それも経営問題ではなく強盗が入る可能性があるから危険だよ、という会話から取り付け騒ぎが発生し、短期間に約20億円もの預貯金が引き出された。警察が信用毀損業務妨害として捜査した結果、悪意なき雑談から始まったことがわかり一件落着。これが「豊川信用金庫事件」(Wikipediaを参照)である。
 今回の小泉発言は、報道機関の前で「つぶれる」可能性に言及し、各種媒体で全国に伝えられることを意識した確信犯的行為であり、悪質な信用毀損業務妨害である。
 株取引の世界には「風説の流布」という犯罪がある。辞書的に説明すれば、虚偽の情報や未確認の噂を流布して、証券取引などの相場を動かそうとしたり、人の信用を損ねたり業務を妨害したりすること。証券取引などについては金融商品取引法で、信用毀損・業務妨害については刑法で禁止されている。ゆえに、クロの可能性大。
 
◆全国農業協同組合中央会は抗議せよ

 この一連の発言に関する記事を10月29日から31日までの新聞各紙でチェックしたが、日本農業新聞以外では確認できなかった。絵面(えづら)ではニュースの価値はあっても、字面(じづら)では進歩の跡が見られずボツになったのだろうか。賞味期限間近の笑えない小泉笑劇場にも、そろそろ終焉時間が近づいてきたようだ。
 しかし一緒に終焉を迎えぬために、彼の問題発言に対して全国農業協同組合中央会は抗議すべきである。JAグループをいたぶり続ける連中の顔色ばかりうかがい、腫れ物に触るような態度が見受けられるが、それは組合員の願いではない。腫れ物をわしづかみし握りつぶせば、腐臭漂う膿がどくどくと出てくるはず。その傷口に清めの塩でも擦り込んでやるがいい。
 「地方の眼力」なめんなよ。

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