規制会議が農協を管理2016年11月29日
昨日、安倍晋三首相は、規制改革推進会議に対して、農協改革の進捗の管理(フォローアップ)を指示した。
最高権力者である首相が、政令に基づいて設置した機関である規制会議に命令したのである。改革の進捗管理とはいうが、中味は農協そのものの管理である。
政府は、農協を意のままに動く組織にしたいようだ。そうして、反TPP運動などをした農協運動を押さえつけたいのだろう。
意のままに動かなければ、難癖をつけて農協をつぶし、その収益部門を、アメリカなどの大資本に切り売りする。そうして、大資本に対する忠誠の証にしたいのだろう。
そんなことが出来る筈がない。農協は、それほど非力ではない。
政府は、TPPが絶望的になったので、これ程までに血迷ってきた。末期は近い。
首相は、規制会議に対して、農協組織の管理を命令し、農協組織を、規制会議の命令に、忠実に従う組織にしたいようだ。規制会議に対して、単なる諮問機関を超えて、管理の権限を与えるということは、そういうことだ。法令にも違反している。
そうなれば、農業者は、うかつに規制会議を批判できなくなる。命令に従わなければ抗命罪にもなりかねない。
これは、民間組織である農協への不当な介入であり、協同組合としての農協を公式に全面否定するものである。
◇
しかし、見方を変えれば、政府の悪あがきである。農協に、それほどの力があることを認めたことでもある。
農協が中心になって行われた反TPP運動によって、TPPが瓦解したことに対する政府の鬱憤を、ここで一気に晴らしたいと考えているのだろう。ここに農協攻撃の本心がある。
たしかに、反TPP運動の中心は農協だった。労組も生協も、その全国組織は、反TPP運動にはソッポを向いてきた。だから、鬱憤を晴らす相手は農協しかない。
◇
TPPだけでなく、いまや、政府を批判する勢力は農協しかない。そうした政治状況にある。
日本の危機は、まさにここに根源がある。労組や生協の責任は重い。農協も怯んではいられない。政府と対峙する姿勢を緩めることはできない。
野党が四分五裂しているいま、国会外で政府と対峙する姿勢を緩めることはできない。農協は、農業者など経済的弱者の先頭に立って、政府と対峙するしかない。
政府は認識していないが、世界の潮流は、弱者を注目する流れに変わったのである。
(2016.11.29)
(前回 TPP特別委のだらけた議論)
(前々回 反TPPのつぎは反規制改革推進会議だ)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(146)-改正食料・農業・農村基本法(32)-2025年6月14日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(63)【防除学習帖】第302回2025年6月14日
-
農薬の正しい使い方(36)【今さら聞けない営農情報】第302回2025年6月14日
-
群馬県の嬬恋村との国際交流(姉妹)都市ポンペイ市【イタリア通信】2025年6月14日
-
【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
-
【注意報】りんごに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月13日
-
SBS輸入 3万t 6月27日に前倒し入札2025年6月13日
-
米の転売 備蓄米以外もすべて規制 小泉農相 23日から2025年6月13日
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
-
担い手への農地集積 61.5% 1.1ポイント増2025年6月13日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき2025年6月13日
-
井関農機 国内草刈り機市場を本格拡大、電動化も推進 農機は「密播」仕様追加の乗用田植え機「RPQ5」投入2025年6月13日
-
【JA人事】JA高岡(富山県)松田博成組合長を新任(5月24日)2025年6月13日
-
【JA人事】JAけねべつ(北海道)北村篤組合長を再任(6月1日)2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
「麦とろの日」でプレゼント 東京のららぽーと豊洲でイベントも実施 JA全農あおもり2025年6月13日
-
大学でサツイマイモ 創生大学と畑プロジェクト始動 JA全農福島2025年6月13日
-
JA農機の成約でプレゼントキャペーン JA全農長野2025年6月13日
-
第1回JA生活指導員研修会を開催 JA熊本中央会2025年6月13日