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規制改革推進会議 子どもだましの手法2016年12月8日

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【小内敏晴・群馬 JA佐波伊勢崎理事 】

 新聞の見出しだけで、全文読むのもあほくさい〝意見〟が規制改革推進会議から公表された。理屈も何もあったものではない。菅長官も一読してその理不尽さは理解できたはずだ。さすがに「しめしめ」と思うほど短絡家ではないと思うが。
 いちいち反論をする気にもなれない。なぜこのような矛盾と欺瞞に満ちた〝意見〟が平然となされるのか。しかも選挙の洗礼を受けない輩からだ。これはもう、議会制民主主義が機能不全に陥っているとオーバーに表現するのも恥ずかしい、幼稚な振る舞いだ。
 高めのビーンボールを投げさせ、公平な第三者の意見と称して世論誘導する。そして少し低い球で仕留める。こんな子どもだましの手法でも、数の力を背景とすれば、恥ずかしくないのだろう。戦後、農協のおかげで甘い汁を絶たれた誰かが、「夢よもう一度」と考えているのではと疑いたくなるのは私だけだろうか。
 修正されたとはいえ、このような暴挙を許すのは、小選挙区・比例代表制と政党助成金にあるような気がする。「郵政民営化の是非を国民に問う」と称して行われた郵政選挙、反対者の多くが刺客を立てられ一敗地にまみれた。結局、郵政はバラバラ、郵便事業は慢性的な赤字。簡保はガン保険をいとも簡単に放棄した。260兆円あった郵貯は170兆円にと30%も減少した。何の改革となったのか。この一連の流れを「小泉劇場」と称して、面白おかしく見物していたのはマスコミとこれに乗せられた国民だった。
 さて、トランプが否定したTPPだか。早々に会談し「信頼に足る人物であると確信した」として堂々と会見した直後の離脱宣言だ。相当ショックだったのは想像できる。それでもの国会承認にいたっては、なんとも情けない。一体「TPP断固反対」と言って勝ったのは誰だ。ご本尊のアメリカに梯子をはずされ、言いようがないので対中国包囲網だとか、東アジアの自由貿易をリードするとか、風が吹けば桶屋が儲かる論法。情けなくて笑ってしまうのは私だけか。
 本論に戻るが、もちろん農協の自己改革は結構である。しかし金丸規制改革推進会議の狙うところはそこにはないのは明らかだ。どうしたらJAを叩き潰せるかが最終目的だ。反JAを掲げる少数の大規模農家を「よいしょ」しているが、出汁(だし)にされているのは明らかだ。彼らはJAを潰して搾り取れば、中途半端な大規模農家などには目もくれないだろう。
 脱線するが、お隣韓国の朴大統領退陣要求デモの凄まじさを見て、何ともやり切れない気持ちになるのは私だけだろうか。韓国の法律がどうなっているか知る由もないが、一度は大統領として信任した朴氏を「堀に落ちた犬は叩け」とばかり、青瓦台を埋め尽くす130万人のデモである。自分たちの代表を一片の情けもなく、突き上げることに嫌悪感を自覚しない悲しさである。
 彼らは任命責任どころか選出責任など、露ほども考えないのであろう。
このような形で自分たちの代表者を引きずり下ろすことで、民族のアイデンティティーを深く傷つけることを自覚できないでいる。
 しかしながら、お隣の韓国を笑えない。つまり、立派な大人の学者や、ひとかどの成功者と言われる財界人が、毎日農民がつくった米や野菜を食べ、誰が考えてもおかしい論理矛盾に気づきながらも、堂々と発信している。これを大手マスコミは表立っての反論をしない。JAはれっきとした民間組織である。法に抵触しない限り、自由な経済活動が保障されているのは自明の理である。
さすがにネットでは冷静に見ている人が多い。大手メディアの反応とは軌を逸にしている。
 肝心の政治家だが、日ごろJAと深いご縁で繋がる人たちであるだけに、なかなか悩ましい。しかしその頭目がJAを潰そうとしているのである。この頭目から、どのように取り戻すか、JAグループは真剣に考えなければならない。茹(ゆ)で上がる前に早く池から出ないと、取り返しのつかない禍根を残すことになる。

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