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【小松泰信・地方の眼力】小泉さん あなたの笛では踊れない2017年1月25日

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【小松泰信 岡山大学大学院教授】

 2016年11月30日にユネスコ(国連教育科学文化機関)は、協同組合を無形文化遺産(世代から世代へと伝承され、…文化の多様性および人類の創造性に対する尊重を助長するもの)に登録した。「共通の利益の実現のために協同組合を組織するという思想と実践」を無形文化遺産として登録することを申請したのはドイツであるが、「全世界で展開されている協同組合の思想と実践が、人類の大切な財産であり、これを受け継ぎ発展させていくことが求められていることを、国際社会が評価したもの」(日本協同組合連絡協議会2016年12月14日)である。

◆国際潮流からは周回遅れの安倍首相

 このユネスコ登録は、農協改革の名を借りた、農業協同組合陣営に対するいわれなき弾圧が繰り返される中で、唯一といっても良い慶祝すべき出来事であった。ところが、業界紙を除けば、メディアに大きく取り上げられることもないばかりか、JAグループをはじめ協同組合陣営においても目立った祝賀行事はなく、他人事のような雰囲気すら漂っている。
 ところが、この登録が出張先で読んだ四国新聞(「一日一言」1月23日)に取り上げられていたのには、驚きかつ感激した。「過度なグローバル化や『弱肉強食』を招きやすい新自由主義が広がる中で、協同組合の価値を認め、その役割に期待したのだ」と、登録のねらいを解説する。そして、わが国におけるJA全農に対する株式会社化要求などを、「協同組合を経済政策の障害と見なしている。『この道しかない』と自信満々の安倍晋三首相だが、国際潮流からは周回遅れというほかない」と、バッサリ。返す刀で、「日本の各協同組合の反応も鈍い。...無形文化遺産に登録された意義や時代背景について、各組合内で十分議論し、その名誉と責任を自覚してほしい」と、こちらもバッサリ。
 よくぞ書いて下さった。でも、ここまで書かれちゃみっともないよ。だからあの人にもこの人にもなめられるのだ。
 
◆人事にまで口だしする小泉さん

 そう、小泉進次郞氏です。読売新聞(1月20)の『全農幹部に外部人材を』という記事によれば、氏が「(地域農協で)組合長をやった人たちの名誉職なのか。外部人材活用が不可欠だ」と述べ、地域農協の組合長経験者らが全農の幹部に就く慣例に、疑問を呈しているとのこと。さらに、全農を国内最大の農業商社だとしたうえで、「これだけの巨大組織を経営できる人材とはどのような人材なのかという根本的な問いがある。経営層は本当にビジネスを分かっていないと経営できない」と述べたうえで、どの役職に外部人材を登用すべきかについては、全農の自主改革に委ねる考えを示したそうである。
 全農の幹部人事にかなり踏み込んで物申すとは、いかなる権限に基づくものであろうか。会社勤めの経験すらなさそうな二世議員にここまで言われるとは全農、いやいやJAグループもなめられたものだ。農業協同組合論を講義している立場から一言言わせていただくと、「全農の幹部は、本当に協同組合のことを分かっていないと全農を運営できない」ということである。
 
◆今年はGAP(適正農業規範、農業生産工程管理)ですか

 日本農業新聞(1月18日)では、自民骨太PTキャラバン先の青森県五所川原市で、参加者に「全農は、やるべきことは自分たちでやると言っている。実際に進んでいるかチェックし、進んでいない場合は声を上げてほしい」と訴えたそうである。もちろん、やっている時はやっていると声を上げて言うべし。でもネ、〝現場の迷惑顧みず、やってきましたキャラバン隊〟が一番JAの仕事を邪魔している、と声を上げるのが先である。
 さら氏は、19日に関西経済同友会での講演で、〝日本の農業の可能性、キーワードはJGAP〟と力説したそうである(毎日放送1月19日19:12配信)。「(五輪期間中)1500万食を供給しなければならない。どれだけ国産のものを出せるかが、これからの3年間の勝負。その中で一番大事なのが国際認証をとっているかどうか。工業界産業界で一番なじみのある国際認証はISO。その農業版がある、それをJGAPといいます」と、いつもの発信力を全開させて語っている。
 19日の日本農業新聞の「自民小泉氏 国際認証当たり前に」という記事も、氏が2020年の東京五輪・パラリンピックでの食材調達や、輸出拡大を見据えて、グローバルGAPなど、農産物の安全性に関する国際認証の取得の推進に強い意欲を示していることを伝えている。先述したキャラバンの際、全国の農業高校ではじめてグローバルGAPの認証を取得した五所川原農林高校を視察し、「20年、30年先の将来当たり前になることを、 君たちは先行して日本の高校で唯一成し遂げている。自信をもって進んでほしい」(同高HP) という趣旨のスピーチをするなど、「大変興奮した」そうである。
 
◆現場とはギャップあり

 このような高校生の取り組みや、安全・安心を担保する各種認証制度の取得を揶揄する気や否定する気はまったくない。
 しかし、同紙が一面で「東京五輪選手への提供食材」「国産大幅不足の恐れ」「GAP取得進まず」「情報発信強化が急務」と四つの見出しで伝えている記事には、「農水省によると『グローバルGAP』を取得しているのは約400農場、JGAPは約4200農場...」として、GAP取得が進んでいないことが記されている。
 農業高校の取り組みに興奮した彼は、間違いなくあちこちで〝高校生でも取得したんですよ。なぜ農家が取れないのか。なぜJAはとる方向で汗をかかないのか。だからダメなんだ〟と、言いまくるはず。でもその思いと生産現場には大きなギャップがある。
 本気で進めようと思うなら、なぜ進まないのかを冷静に検証した上で、語るべきである。現在でも、安全安心、環境保全、労働安全等々に細心の注意を払いながら農業生産も営農指導も行われていることを、もっと真摯な姿勢で学ぶべきである。
 それから、軽々に五輪を出汁にすべきではない。五輪が海外に向けた日本の農産物アピールや販路拡大の絶好の機会、などとは思わないほうがいい。よーく考えてみよう。これまであった五輪のあとに、その国の農畜産物がわが国の食生活に影響を及ぼしたことがあったのか。ありませんよね。
 「今年は『国際認証当たり前』という時代を切り開いていく、スタートになる一年にしたい」と張り切っているが、小泉氏の一連の言動は一貫して説得力に欠ける、単なる〝オドシとアオリ〟でしかない。残念ながら、あなたの笛では踊れません。
 「地方の眼力」なめんなよ

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