民進党の反原発政策を妨害する連合労組2017年3月6日
民進党は、反原発政策について、これまで2030年代に原発ゼロを目指している。先日、執行部は、これを10年前倒しして、2030年までに原発をゼロにしようと考えた。
さっそく、支持団体である電力労組との調整に入ったが反対された。連合労組も電力労組に同調して反対した。その結果、執行部の提案は頓挫した。
福島の原発事故から来週で7年目に入るが、まだ多くの人たちが避難生活を強いられている。農産物の風評被害も続いている。そうした中での出来事である。
原発問題は、与野党の重要な対立点である。しかし、野党第1党の民進党が、この問題で曖昧な態度をとり続け、多くの国民を裏切り、他の野党から批判されている。
昨年は新潟知事選で、民進党は同じような態度をとって、国民から非難をあびた。野党統一候補が明確に原発再稼働に反対する公約を掲げたので、民進党はこの候補を推薦せず、自主投票にした。このときも原発推進派の連合労組の圧力があり、それに屈した。
選挙の結果は、反原発で民進党ぬきの野党統一候補が勝った。そして、民進党は野党第1党の面目を失った。
◇
さて、日本政府はトランプの米国政府との「日米経済対話」を、来月から始める。貿易問題は重要な議題になるだろう。
トランプは、日本への自動車輸出に重大な関心をもっている。また、牛肉や豚肉の生産者団体から、日本への輸出拡大に強い圧力を受けている。
それに対して、日本は、自動車はすでに関税ゼロで、充分に自由化していると言うだろう。だが、トランプに、この理屈は通らない。トランプは「アメリカ第1」主義の方をWTOよりも優先させる、と言っているからだ。
それは当然である。外交が内政の延長であることは主権国家として、しごく当然のことである。べつに孤立主義でも何でもない。だから、トランプは自由化原則などは無視し、日本に対して米国車の輸入増を執拗に要求してくるだろう。
また、農産物については、日本はTPP交渉の過程で、すでに大幅な譲歩を容認してしまった。牛肉、豚肉の関税の大幅な引き下げと、自由化原則を無視したコメの輸入枠の拡大である。日米交渉は、ここを出発点にして始まるだろう。
◇
そうなったとき、「日米経済対話」について、連合労組はどのような態度をとるのか。
連合労組は、こんどの民進党の原発ゼロ政策の前倒しを妨害したように、農業者などの経済的弱者の主張に反して、米国からの農産物の輸入拡大に賛成するのだろうか。自動車労組が主張する米国の日本車輸入の関税引き下げのために、農業を犠牲にするのだろうか。そうして民進党は、またしても連合労組の圧力に屈して同調し、農業者など弱者の支持を失うかもしれない。
このような連合労組に明日はない。
◇
民進党は、弱者の利益を守るための政党ではなかったか。しかし、いまはそうなっていない。弱者に敵対し、強者の側に立つ連合労組の言うがままになっている。これでは、民進党が存在する意義はない。
民進党は、原発問題やTPPで露呈されたように、連合労組のくびきから脱することができないでいる。こんなことを、いつまでも続けるなら、やがて国民から見放されるだろう。
連合労組は、いまや労働者を代表する組織ではない。まして、農業者や中小企業主など弱者の味方ではない。強者である大企業と与党の走狗に成り下がっている。そのくびきに縛られていれば民進党も同類になる。
このままでは、自民党の1強多弱の政治が今後も続くか、それとも、民進党が自滅するかしかない。
民進党が、野党を率いて自公の強権政治を阻止し、政権を奪還するために当面する最重要課題は、連合労組のくびきから脱することである。そうして、広範な野党連合の中核になることである。
熱い声援を送りたい。
(2017.03.06)
(前回 「農業者は神様です」という農政へ)
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