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分断の基軸2017年5月15日

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【森島 賢】

 英国のEU離脱につづく米、仏、韓の大統領選挙の結果、国民が分断された、と憂えている評論家が多い。まことに嘆かわしいというわけである。そう言って、選挙という国民の神聖な選択に異議を唱えている。
 しかし、その分断は何と何とが分断されたのか、つまり、分断の基軸は何か、については語らない。また、分断がどんな政治によってなされたのか、についても語らない。だから、さらなる分断を防ぐための政策の提案がない。これでは、分断が今後も進むだけだ。
 分断の実態をみると、それは市場原理主義政治によって、中間層から追い落とされた人などの経済的弱者と、市場原理主義政治によって私利私欲を貪っている経済的強者との間の分断である。
 そして、分断は強者によって進められている。ここに着目しなければならない。

 グローバル化による格差の拡大が分断の原因だ、という論者がいる。これはマシなほうだ。
 しかし、あまりにも浅薄すぎる。グローバル化がどんな政治によるものか、については何も言わない。
 カタカナで書くことで、それが逆らうことのできない世界の潮流だ、と言って諦めさせたいようだ。
 また、格差の拡大は、1つの国だけではなく、世界の各国でみられる世界の潮流だから、1国だけでは解消できない、と言って諦めさせたいようだ。つまり、分断は避けられない、と言いたいのだろう。これでは、分断を助長するだけだ。

 ポピュリズム(大衆迎合主義)の政治家が、大衆を惑わせて国民を分断させた、とする論者もいる。ここには、大衆の大部分を占める経済的弱者を侮蔑する悪意がある。カタカナで書いても同じことだ。彼らは、民主主義が大衆のための政治であることが分かっていない。
 たしかに、ポピュリズムは、大衆を誤った方向へ向かわせることがある。そのことを善意で言いたいのなら、何が誤りで何が正しいか、を言わねばならない。そして、誤りを矯正し、大衆にとっての正しい政治の道を示すべきだ。しかし、それがない。

 英国のEU離脱に始まる大衆の既往の政治に対する異議の申し立ての内容は何か。それは、各国の市場原理主義政治に対する異議の申し立てである。
 市場原理主義政治によって、労賃の引き下げが行われ、非正規労働が増えた。それに加えて、外国の安い労働力で作った物を自由に輸入し、また、国内の企業が安い労働力を求めて外国へ移転し、それまでその企業で働いていた労働者が解雇され、失業して経済的弱者になってしまった。農業でも同じような状況にある。
 こうした状況のもとで、従来の中間層が経済的弱者に追い落とされた。その結果、膨大な数の弱者が各国の弱者に追加された。そうして、彼らの市場原理主義政治に対する悲痛な異議申し立ての声が、世界の各国から聞こえるようになった。
 英国のEU離脱に続く世界の政治変動は、このようにして始まった。

 この政治変動は、時には、孤立主義や排外主義と批判されることがある。それには耳を傾けよう。そして、的を射た批判なら矯正すればいい。
 大事なことは、弱者が主導した政治変動に非難中傷を浴びせて、元へ戻すことではない。世界の政治が、弱者のための政治へ向かって走り出したことを、見失わないことである。
 今や弱者の政治力は世界中で強まって、世界の政治を力強く動かし始めている。日本も、やがてそうした状況になるだろう。そうしなければならない。
(2017.05.15)

(前回 自由貿易への怨嗟が世界中で噴出

(前々回 日米牛肉交渉の本気度

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