【城山のぶお・リメイクJA】自己改革の本当の意味2018年8月10日
自己改革の言葉を聞かない日はない。だがその内容を理解している人は、どれだけいるのだろうか。自己改革の言葉を最初に使ったのは政府であり、その意味するところは2014年6月に閣議決定された、JA解体を目指す「規制改革実施計画」の内容を実行することだ。
これに対してJAの自己改革は、政府に言われるのでものではなく自ら行うものと理解されている。改革は政府にとやかく言われるものではない。その意気やよし。かくして、自己改革の大合唱となる。
だが、そもそも自己改革などということは当たり前のことで、民間の会社組織では使われることはない。政府と特別な関係を持つJAならではの言葉だろう。
いずれにしても、もともと、自己改革は政府が言い出したもので、JAがその意向に反して勝手な自己改革を進めてみても、それは砂漠における蜃気楼を追い求めて行くようなもので到達点があるわけではない。
政府が言う自己改革の内容は急進的で、それは戦後JA運動の総決算を求めるほどのものであるといっていい。これに対するJAの自己改革は、従来路線を踏襲する旧態依然のもので、そうした内容とは程遠い。政府がいう自己改革とJAが認識する自己改革との差はあまりにも大きい。
どうしてこのような事態になったのか。それは、農協改革緒戦の戦いで敗れた当時の萬歳章全中会長が辞任にあたって、その敗北を認めなかったことにある。農協改革緒戦の戦いで、全中は自民党インナーとの密室政治に巻き込まれ、戦後のJA運動を主導してきた中央会制度の廃止という惨敗を喫した。
戦いの敗北を認めれば、なぜ敗北したのかという総括が必要になる。この時点で戦いの総括が行われていれば、旧態依然のJAの従来路線は改められ、新路線が議論になっただろうし、そうすべきだった。
だが、敗北宣言が行われなかったため、従来路線が踏襲されることになった。
従来路線は、2014年11月に全中が作成した自己改革案がもとになっている。
この自己改革案は、中央会制度が廃止される前の政府に追い込まれた異常事態の下で作成されたもので、その後の第27回JA全国大会議案に引き継がれていくことになるが、とてもその後の展開への対応策として耐えられるものではかった。
全中は、萬歳会長辞任後、直ちに戦いの総括を行い、新たな戦いの指揮を執るべきだったが、その後の執行部にはそれができなかった。このため、萬歳会長辞任後、2015年4月から今日まで3年にわたってJA運動の空白期間が続いており、それが今次JA改革の最大の悲劇といってよい。
今までに全中が打ち出している方策は、組合員アンケート調査と話しあいであり、これではとても現在の困難な状況を乗り切ることができないことは誰の目から見ても明らかである。
JAが行う自己改革とは、従来路線を踏襲するのではなく、戦後JA運動の総括を踏まえ、明確な将来方向を示し国民理解の上で新たなJA運動をすすめていくことだ。そのための具体策が、JA自己改革の本当の意味である。JA運動の総括にあたっては、さまざま視点が必要になるが、それはこれから述べて行きたい。
重要な記事
最新の記事
-
【解題】基本法改正は食料安保をめぐる現場での課題にどう応えようとしているのか 谷口信和東大名誉教授2024年4月23日
-
第18回全農学生「酪農の夢」コンクール「学校賞」新設 作品募集中2024年4月23日
-
元卓球日本代表・石川佳純が全国を巡る卓球教室 大分で開催 JA全農2024年4月23日
-
運営9年目・稼働率約9割 地域に喜ばれる貸出農園事業を展開 JAマインズ2024年4月23日
-
量販店等に終売通告を行う白米卸も【熊野孝文・米マーケット情報】2024年4月23日
-
【JA人事】JAむかわ(北海道)長門宏市組合長を再任(4月10日)2024年4月23日
-
【JA人事】JAとうや湖(北海道)高井一英組合長を再任(4月12日)2024年4月23日
-
農繁期の人材確保へ「いわて農業未来プロジェクト」支援開始 タイミー2024年4月23日
-
栃木県那須塩原市 道の駅「明治の森・黒磯」リニューアルオープン2024年4月23日
-
いちご生産量日本一 栃木県真岡市のPR動画「もおかのいちご物語」公開2024年4月23日
-
「夏のさつまいも博2024」さいたまスーパーアリーナで7月4日から開催2024年4月23日
-
知財功労賞「経済産業大臣表彰」を受賞 ブランド戦略とユニークな登録商標の活用が評価 サタケ2024年4月23日
-
令和5年冷凍食品の生産・消費調査 出荷額は7799億円で過去最高 日本冷凍食品協会2024年4月23日
-
農業を志す学生450人が来場「食品・農業就活サミット」開催 シンクロ・フード2024年4月23日
-
全国道の駅公式オンラインショッピングサイト「道の駅マルシェ」オープン2024年4月23日
-
千葉県市原市「第42回 市原市園芸まつり」開催2024年4月23日
-
食や農業の未来に「あったらいいな」を募集「未来エッセイ2101」AFJ2024年4月23日
-
その場で当たりが分かる「甘果にんじん」春キャンペーン開催 ファーマインド2024年4月23日
-
シードル生産者が大阪に集結「Osaka Cider Festival大阪林檎酒祭り」開催2024年4月23日
-
サラダクラブ産地表彰式 第8回「Grower of Salad Club 2024」開催2024年4月23日