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コラム:リメイクJA

【城山のぶお】

2019.02.08 
【城山のぶお・リメイクJA】第24回 農協改革とは何だったのか一覧へ

 2014年6月から始まった今次農協改革は、2019年5月で改革集中推進期間の期日を迎える。この間の評価について、政府はともかくJAグループはどのようなまとめをするのだろうか。

 農協改革は政府に言われるものではなく、自ら行うものだという趣旨に沿えば、われわれは大変良くやったという、自画自賛の内容になる可能性が高い。そのことがどのような意味を持つのか、そのことを考えるには、そもそも今次農協改革とは一体何だったのか、改めてその意味を考えておくことが重要だ。
 農協改革の見方はいろいろあるだろうが、JAの中で最も支配的な意見はアベノミクスによるJA潰し、協同組合潰しというものだろう。こうした意見の中には、新自由主義のもとで日本の農村・JAの市場を多国籍企業に売り渡すものだというものもある。
 しかし、筆者はそのような言わば政治的な背景による農協改革に対する見方も重要だが、JA組織が持つ本質的な面にも光を当てなければならないと考える。
 この問題を考えるヒントは、農協改革緒戦の戦いにおいて敗北を喫した准組合員の事業利用規制をとるか、中央会制度の廃止をとるかの王手飛車取りにあい、中央会制度を犠牲にしてまで守った准組合員の事業利用規制問題にある。
 2015年2月の緒戦の攻防において、JA全中は自らの組織の解体を意味する中央会制度の廃止を飲まされたが、同時にそれは、准組合員の事業利用規制こそが王手飛車取りにおける王将であることを意味した。
 総体として過半を超える准組合員に事業利用の規制をかけられることはJA経営に深刻な影響が及びまた、事業分割にも繋がりかねないという強い懸念があったからであろう。
 このように考えると、JAにおける准組合員の存在をどのように考えるか、言い換えればJA組織の将来的なあり方をどのように考えるかということこそ、今次農協改革の基本的命題と考えていいだろう。このことは、同時に戦後70年のJA運動の総括が必要なことを意味している。
 だが、准組合員の事業利用規制問題は、2021年3月まで先送りとなった。その意味で、農協改革は2019年5月の改革集中推進期間が終了し一応の区切りを迎えるものの、農協改革の根本問題は残されたままということになる。

 准組合員の事業利用規制問題に対するJAグループの対応は、今次農協改革の対応を象徴するように、全く従前と同じで事態を打開する内容にはなっていない。あるとすれば、自民党というより安倍政権頼みの政治的解決のみである。その最大の弊害は、自分で解決策を考えないようになることにある。
 それでは、今次准組合員をめぐる農協改革の最大の争点は何か。それは、以下のいずれの認識に立つのかが問われている問題としてとらえることが重要だ。
(1)は、准組合員は制度として与えられたものであり、われわれに非はなく従来通りのJA運動を続ければいいという認識。
(2)は、准組合員の問題は、総体として准組合員の数が正組合員の数を上回り、その差が今後とも拡大していくと想定される中で、いずれ制度改変さえ求められている問題であり、JAの将来像を考えて行くことと不可分で、新たなJA運動を提起していかなければならないという認識。

 だが現実には、このような問題のとらえ方をする必要があることをJA関係者の多くの人は知らないし、あえて知ろうともしない。その原因は、積極的に問題提起をしなければならない立場の全中が、(1)の従来路線の踏襲という対場をとっているからに他ならない。
 この点、全中が今後ともJAグループの調整・代表機能を果たすことを望むのであれば、少なくとも、こうした基本問題解決への提案力を持たなければならない。
 今後われわれは、(1)と(2)の方向のうちどちらの方向で運動を進めればいいのか。それは言うまでもなく(2)の方向だ。(1)の方向は、これまでとってきた方向であり、そのような方向をとってきたからこそ現在問題が提起されていると考えれば、取りうる方向でないことは明らかだ。

 これまでのJAの准組合員拡大対策は、員外利用制限を逃れるために、主に信用・共済事業を伸長させるため、いわばJA組織の維持拡大のためにとられてきたという性格が強い。
 信用・共済事業の収益で営農・経済事業の赤字を補填しているから農業振興に貢献しているのではないかということは、事業利用の結果でしかない。
 農業振興を第一義とするJAがこのような対策を進めることで、広く国民の支持を得られるのだろうか。いくら与党が准組合員の事業利用規制は組合員の自主判断だといってわれわれを安心させても、その内容について国民の支持が得られないものは進めることはできない。
 否、政権側がそこまで見通しているとすれば、それは政権側の思う壺ではないのか。中央会監査から公認会計監査士への移行にあたって、監査コストの増大には配慮するといった国の約束も、金銭的・直接的な支援は他の業態との横並びで国民の理解を得られないということで、あっさり撤回されている。
 中央会制度が廃止された状況の中、自らの権利は正しい戦略のもとで戦いとっていくしか方法はない。次回は(2)の方向の内容について述べてみたい。

 

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