【森島 賢・正義派の農政論】政党支持率の科学2019年4月15日
報道機関の世論調査で、最近の政党支持率を平均的にみると、与党の自民は37.0%、公明は3.6%である。野党をみると、立憲は7.2%、共産は3.1%、国民は0.9%である。支持政党なしは41.1%である(Real Politics Japan)。
一方、実際の選挙結果からみる政党支持率は、このような世論調査の結果からかなり離れる。その理由は、支持政党なしが多いからだという。その時の風向きによって、選挙結果が変わるからだという。
だが、この言い訳は、有権者への侮辱である。風向きで投票する有権者などいない。これは、民主主義の否定である。さらに、知性の放棄であり、科学への冒涜である。
いったい、何のための世論調査か。高みに立って、独りで密かにほくそ笑んでいるのなら、それでもいい。だが、そこには何の社会的意味もない。社会の公器である報道機関の堕落である。
こうした調査の目的は、有権者がどんな政治を要求しているか、にあるだろう。しかし、40%の有権者の要求が分からない、というのである。そうなると、調査結果の政党支持率もあやふやになる。だから、選挙結果の予想を誤る。その誤りの責任を、支持政党なしと答える有権者に押し付ける。
これでは、調査の目的が果たせない。その上、反省がない。
◇
こうした調査の目的は、有権者の政党支持の状態を知ることだろう。それが事実として表されるのは、選挙結果しかない。ここでは、支持政党なし、と答えた人も、ある特定の政党を支持して、その党の党員である候補者に投票する。
だから、この投票結果をみれば、真の政党支持率が分かる。分かるには、それしかない。
この真の政党支持率を知ることが、こうした世論調査の目的ではないのか。
しかし、世論調査による政党支持率と、真の支持率が違うことが多い。
たとえば、「国民」党の支持率は、世論調査では、前述のように0.9%だが、これが真の支持率とは、とうてい思えない。このことは、7月の参院選で、誰しもが分かることになるだろう。そうして報道機関は、天下に大恥をかくことになるだろう。
このような世論調査は、根本的に見直して、もっと科学に基づいた推計をすべきである。猛反省を促したい。
(2019.04.15)
(前回 野党の退潮)
(前々回 食糧安保政策の科学)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(150)-改正食料・農業・農村基本法(36)-2025年7月12日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(67)【防除学習帖】第306回2025年7月12日
-
農薬の正しい使い方(40)【今さら聞けない営農情報】第306回2025年7月12日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 茨城県2025年7月11日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 新潟県2025年7月11日
-
【注意報】果樹に大型カメムシ類 果実被害多発のおそれ 北海道2025年7月11日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 福島県2025年7月11日
-
【注意報】おうとう褐色せん孔病 県下全域で多発のおそれ 山形県2025年7月11日
-
【第46回農協人文化賞】出会いの大切さ確信 共済事業部門・全国共済農協連静岡県本部会長 鈴木政成氏2025年7月11日
-
【第46回農協人文化賞】農協運動 LAが原点 共済事業部門・千葉県・山武郡市農協常務 鈴木憲氏2025年7月11日
-
政府備蓄米 全農の出荷済数量 80%2025年7月11日
-
【'25新組合長に聞く】JA加賀(石川) 道田肇氏(6/21就任) ふるさとの食と農を守る2025年7月11日
-
【'25新組合長に聞く】JA新みやぎ(宮城) 小野寺克己氏(6/27就任) 米価急落防ぐのは国の責任2025年7月11日
-
(443)矛盾撞着:ローカル食材のグローバル・ブランディング【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月11日
-
【2025国際協同組合年】協同組合の父 賀川豊彦とSDGs 連続シンポ第4回第二部2025年7月11日
-
米で5年間の事前契約を導入したJA常総ひかり 令和7年産米の10%強、集荷も前年比10%増に JA全農が視察会2025年7月11日
-
旬の味求め メロン直売所大盛況 JA鶴岡2025年7月11日
-
腐植酸苦土肥料「アヅミン」、JAタウンで家庭菜園向け小袋サイズを販売開始 デンカ2025年7月11日
-
農業・漁業の人手不足解消へ 夏休み「一次産業 おてつたび特集」開始2025年7月11日
-
政府備蓄米 全国のホームセンター「ムサシ」「ビバホーム」で12日から販売開始2025年7月11日