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【小松泰信・地方の眼力】公約は耳に優し2019年5月15日

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【小松泰信・(一社)長野県農協地域開発機構研究所長】

 麻薬特例法違反容疑で逮捕された経済産業省のキャリア官僚(自動車課課長補佐)の省内にある机の中から、複数の注射器が押収された。省内で覚醒剤を使った可能性大。「仕事のストレスから医師に処方された向精神薬を服用していた。より強い効果を求めて覚醒剤に手を出した」との趣旨の供述もある。不思議なのは、極めてたちの悪い事件であるにも関わらず、メディアでの取り上げ方が少ないことである。メディアと肩で風切る経産省の実相に対して、「覚醒」すべきは国民である。

◆大学無償化法というまやかし

小松泰信(岡山大学大学院 環境生命科学研究科教授) 毎日新聞(5月14日付)の「アクセス」というコーナーは、5月10日に成立した、低所得世帯を対象に大学や短期大学などの学費を無償化する、通称「大学無償化法」を取り上げている。授業料や入学金の減免に「給付型奨学金」の支給を内容とし、住民税非課税世帯を基本的な対象とするため、「進学以前に生計が成り立たない世帯では」とツイッター上の声もある。厳しい所得制限と中間層への支援もないため、「無償化に値しない」との批判も紹介している。さらに、一部の国公立大や私立大の減免基準より厳しい所得制限で、減免措置を受けている学生への支援打ち切りを懸念する声すら上がっているそうだ。
 正式名称は「大学等における修学の支援に関する法律」(大学修学支援法)であるが、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は「『無償化法』はごまかしに満ちたネーミングで、そのまま報じるマスコミの姿勢も問題だ」とする。

 

◆「出す出す詐欺」の官邸農政に農業後継者を育てる気はない

 日本農業新聞(5月11日付)は一面で、新規就農者を支援する「農業次世代人材投資事業」の2019年度予算が昨年度に比べ1割以上減額されたことで、全国の自治体に波紋が広がっていることを伝えている。複数の自治体によると、研修や経営開始を予定していた若者が給付されない他、既に交付されていた就農者も今年度は継続されない可能性があるとしている。
 受給を前提として就農を目指す者、就農中の者にとっては「出す出す詐欺」という名の、国家による立派な犯罪である。
 同省は「社会保障とは異なり、年齢や就農意欲など要件に当てはまっても全員もらえる支援ではない」とするが、農業の持続性を保障する上で、次世代を担う人材への投資の持続性が保障されないのは論外。
 当然現場からは、「対象を広げたにもかかわらず、この予算では新規採択だけでなく継続も含めて厳しい。事業を頼りにする若者に説明できない」(香川県)、「大変困った状況。事業費が足りないことは明らか」(熊本県)、「国に予算確保をお願いするしかない」(鹿児島県)、「就農を目指して前職を退職するなど、退路を断った若者の人生を左右する問題。地域の営農計画も頓挫する」(岡山県新見市)」などの批判が出ている。
 同紙(5月14日付)は続報として、現場の怒りと窮状を伝えている。
 非農家出身で岡山市北区に移住した桃生産者(39)は、大手企業を退職し、2013年から農家となる。当該事業の準備型、経営開始型支援を見込み「未収益期間」の長い果樹に新規参入。支援によって作業時間が確保でき、地域の信頼も獲得し、技術レベルも向上。長期計画をたて機械投資も可能となった。それだけに「はしごを外された思い。農政への不信感でいっぱいだ」との憤りはもっとも。
 奈良県の非農家出身で同市に移住し、桃生産での就農希望者(40)は、今年から経営開始型を受給する予定だったが、減額で不透明となる。「国の支援を頼りに就農を決断した人に、予算がないからやっぱり支給しないという言い分が通用するのか。ひどすぎる」と、怒りと不安を隠せない。
 当然、自治体も詐欺の被害者である。
 岡山市は「相談会では生活を支える制度があると説明してきた。......極めて重大な課題で、あり得ないことだ」と不満を募らせる。
 岡山県は「このままでは人生を懸けて就農したのに支援できない若者が出てくる。......行政の信頼が損なわれる」と危惧する。

 

◆武闘派から舞踏派への変心

 このような情況に怒るべきJAグループの関心は選挙に向かっているようだ。
 佐賀新聞(5月8日付)によれば、参院選佐賀選挙区に立候補を予定している自民党現職の事務所開きで、JAグループ佐賀の政治団体、県農政協議会の金原壽秀会長は「佐賀の選挙は(官邸主導の農協改革に反発してきた)われわれのせいもあり厳しいが、推薦した以上、しっかり体制をつくり支援していきたい」と述べたそうだ。氏は全国農業協同組合中央会の副会長でもある。
 氏の発言は、「官邸農政に反発したことをわび、その反省にたち参院選では、最終的には官邸農政に付き従う勢力を支援します」と解釈できる。官邸農政への白旗だとすれば、「農協改革への反発」を支持した人たちの信頼を失う問題発言である。
 4月24日号の当コラムで書いたように、金原氏は二階俊博幹事長の中国訪問に同行した。「外遊に連れて行くのは二階氏流の人心掌握術だ」との自民党関係者の声も紹介した。
 武闘派として名を馳せた氏が、二階氏の掌で踊る舞踏派に変心したとすれば残念でならない。

 

◆暴力とハネムーン

 日本農業新聞(5月9日付)によれば、自民党は、夏の参院選公約に改正農協法で政府が検討するとされているJA准組合員の事業利用規制の在り方について、「組合員の判断に基づくものとする」と明記する方針を固めた。JA関係者に規制導入を懸念する声が多いことから、農協改革に対する不安を払拭し、農協票の獲得を目論むもの。すでに二階氏は、JA全中が4月に開いた政策確立全国大会に寄せたビデオメッセージで、准組合員の事業利用規制について「最終的に組合員の声、判断で決めればよいことは当然だ」と、当然のことを重々しく語り、公約に盛り込む考えを示唆していた。こんなことを有り難がるなよ、みっともない。
 選挙公約が当てにならないことは娑婆の常識。JA関係者なら、TPPに関する国会決議を平気で反故にする政権であることを忘れてはいないはず。さらには、憲法すらもしれーっと改悪する連中。JA組合員や職員にこの程度の公約にすがって投票を呼びかけるなら、鼻で笑われる悲しきピエロ。良薬は口に苦いが、公約は耳に優し。
 同紙同日の「アンテナ」というコーナーで、「頭のてっぺんから爪先まで、農協でできている」(確かに、農協を食いものにしていればそうなるはず)と自己分析する参議院議員現職は、准組合員の事業利用規制に対して、「長い協同の取り組みをベースに発展してきたJAを壊すものでしかない」と危機感を募らせ、「断固戦う」そうだ。どんな戦いを示してくれるのか、期待値ゼロ。
 作家平野啓一郎氏による『ある男』(文藝春秋、2018年、183頁)にあったフレーズになぞらえるならば、来る参院選でも「暴力とハネムーン期を繰り返すDV」の加害者と被害者のおぞましき濡れ場を見せつけられるはず。
 「地方の眼力」なめんなよ

 

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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