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【熊野孝文・米マーケット情報】規模拡大に必要な低コスト生産と共同販売会社2019年6月25日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 東北で40haほどの水田を耕作している株式会社組織の稲作経営者に「新事業構想に関する資料」という新たな事業プランを見せてもらった。
 現状認識について「近年の稲作農業は、高度な機械化が進んでいるが、依然として人手や経験・勘に頼るところが多い。また、米価下落や資材費高騰により離農者が年々増加している。これら作業効率の悪さや技術継承の難しさ及び不安定な収入体制は、農業就業への妨げになっているとも言える。荒廃地を未然に防ぐためにも、農地集約化に耐えうる受け皿(持続可能な経営体)の構築が求められている」と記している。この会社が耕作している水田の枚数は189筆にもなり、この筆数を聞いただけでも効率化には程遠い環境の中で苦悩している経営状況が伺える。農地集約化が叫ばれて久しいが、鳴り物入りで発足した農地バンクの集約状況を見ても順調に進んでいるとは言い難い。農地問題についてはブラジルで開墾しながら農地を広げている日系人の子息が日本で農業を学びに来た際、日本で農地を広げるのはブラジルの密林を開墾するより難しいと言っていたと言うがまさにその通りなのだろう。だからと言って制度改正を待って農地を広げるという時間的な余裕はない。
 2015年の農業センサスによると100ha以上の水田作経営体は全国で334経営体ある。都道府県別で多いのは北海道43、宮城29、岩手23、福岡22、佐賀22、山形20で、意外にもコメどころ新潟は11しかない。2010年のセンサス時より3倍に増加しているが、2020年の調査ではさらに件数が急増しているに違いない。そのことは農研機構がホームページにアップしている2025年の1戸当たりの経営面積の予測値を見ても明らかだ。
 つい最近、高崎線沿いの駅から2㎞ほどにある農地を40ha購入したという農業経営者に話を聞く機会があった。その人物は、購入した農地は条件の良い農地ではないのだが、だからこそ購入する価値があると言っていた。この経営者は「ネギを日本一安く作れる」と言う経営手法のもと面積を急拡大しており、ネギだけで120haを耕作している。彼曰く「これからはどんな野菜を作っても儲かる。水田作も競争原理が働くようにすべきだ」。水田作では350haを10人で耕作している経営者の話を聞いたが、話の主題はいかに水利を確保するかにあった。それよりも大手冷凍食品メーカー向けにコメを納入しているとのことで、その話に興味が移った。いかに経営規模を拡大して生産コストを低減させるかも重要だが、それと同じぐらい生産されたコメの販路を築くのかも重要である。
 冒頭の農業経営者はクラウドファンディングで農地借入資金を調達しているだけあって、事業の将来展望もブランド(共通のパッケージ、商品規格などによる統一ブランドを形成し、イメージの向上を図る)、補助事業(組織名で補助金申請を行うことで公共性などが評価され採用率が高くなる)、人材(会員間における人材のシェアリングで雇用負担を減らす。一般作業、オペレーター、事務を想定)、連携(連携農場の拡充、商品ラインアップの充実化による営業力強化)、流通(流通ネットワークを構築し競争力を高める。海外への輸出を行う)と分野ごとにしっかりした考えを持っている。感心したのは事業スキームで、コメを核に、桃、リンゴ、梨、イチジク等の果物のほか野菜類、加工品も共同購入、共同販売する姿を描いていることで、これが実現出来れば販社として競争力をつけることが出来る。
 組織の狙いと強みについては対応力(・多様なロットや品目のニーズを満たせる・在庫リスクや代金回収リスクへの対応)、最適化(・会員農場の特性を活かしたトータル営業により営業効率アップ・資材一括購入し低コスト生産を実施)、信用度(・農業者団体という安心感を提供・広域エリアによる活動のため公共性がある)、発展性(情報、技術、人的資源などの共有が個々の農場経営の発展につながる)としている。
 こうしたプランを描けるだけあって、すでに行っているコメ販売もユニークで、なんと取引先の外食店専用のコメをブレンドして供給している。単に精米したブレンド米ではなく、地中海料理に向くコメとしてその店に合うコメのイタリア原産カルナローリを親に持つ日本産リゾット米「和みリゾット」を生産している生産者に依頼してそのコメを入手、それに他の品種をブレンド、この店が納得するコメを納入することに成功した。そのブレンド手法で特許まで取得している。

 

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(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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