【森島 賢・正義派の農政論】国民と野党の間のネジレ2020年2月10日
国会審議を聞いていると、野党は政府の不正疑惑を追及することが、いまの政治の最重要課題と考えているようだ。だから、そのことに多くの力を注ぎ、長い審議時間を使っている。
しかし、報道各社の世論調査をみると、政府、与党の支持率は下がらないし、野党の支持率は上がらない。その理由は、世論調査が示すように、国民が野党の政府追及を、いまの政治の最重要課題と考えていないからである。
国民は、もっと他に、やることがある、と考えている。つまり、政治の最重要課題について、国民と野党の間にネジレがある。
野党が政府を追及する目的は何か。不正のない清廉潔白な政府にさえなればいいのか。いまの政府の政策を清廉潔白に行えばいいのか。そうではあるまい。
そうではなく、政府の政策の中身こそが問題である。それを議論し、正すことが最重要な政治課題だ、と国民は考えている。つまり、政府が作った格差社会に中にあって、弱者は医療、福祉問題で苦悩しているし、経済、財政、外交問題で弱者は犠牲になっている。これらのことが、国会で議論し、政府を追及すべき重要問題だ、と弱者は考えている。
このように、政治の重要問題について、国民と野党の間に深刻なネジレがある。だから、野党の支持率は上がらない。このネジレを戻すのは、もちろん野党である。
立憲も国民も、それぞれ党の名前中に「民主」が入っている。だから、それぞれが民主的な政治家の集まりなのだろう。そうだとすれば、野党は、このネジレを真摯に反省すべきである。そして、ネジレを戻す責任は、野党の側にある。
◇
本稿は、報道各社の世論調査を根拠にしているが、それを全面的に肯定しているわけではない。しかし、野党の支持率が上がっていないのは事実だろう。
では、野党の支持率は、どれほどか。それらの世論調査によれば、野党第1党の立憲の支持率は7-8%しかない。これが事実とは、とうてい思えない。
では、野党の支持率は、事実としてどれ程か。それは野党も知らない。そうして、世論調査の結果には、一喜一憂しない、とうそぶいている。
その意味は、世論の動向に一喜一憂しない、という意味ではあるまい。各社の世論調査は不正確で、世論の動向を忠実に表していない、という意味だろう。
政治家は、世論の動向には一喜一憂しなければならない。
野党は世論の動向にもっと敏感でなければならない。そのためには、野党は、もっと弱者の政治要求を真剣に聞き、的確にとらえて、それに応えねばならない。
◇
世論の動向に一喜一憂するというなら、そのために最初になすべきことは、世論の動向を正確に認識することである。ことに、党の政治戦術が世論に対してどのように影響を与えているかを、正確に認識し、その理由を徹底的に分析することである。そうすれば、いま行っている政府の不正疑惑の追及が、国民の支持率を上げていない理由が分かるだろう。
そのことを正確に認識するには、党独自で、正確かつ忠実な世論調査を行えばいい。それは、大規模な統計調査でなくてもいい。政治家が国民と向き合って、その政治要求を直接に聞けばいい。
そうして、党の国会議論などの政治活動が、国民の政治要求に応えているか否かを、たえず検討し、党の政治活動を点検し修正することが、何より重要である。
最後に言っておこう。国民の大多数を占める弱者は、野党の離合集散などという、弱者を疎外した、党利党略、私利私略にまみれた、そして、宮廷革命まがいの騒動に関心はない
(2020.02.10)
(前回 国会の劇場化)
(前々回 農業の可能性を摘み取る政治)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
米の作況指数の公表廃止 実態にあった収量把握へ 小泉農相表明2025年6月16日
-
【農協時論】米騒動の始末 "瑞穂の国"守る情報発信不可欠 今尾和實・協同組合懇話会委員(前代表)2025年6月16日
-
全農 備蓄米 出荷済み16万5000t 進度率56%2025年6月16日
-
「農村破壊の政治、転換を」 新潟で「百姓一揆」デモ 雨ついて農家ら220人2025年6月16日
-
つながる!消費者と生産者 7月21日、浜松で「令和の百姓一揆」 トラクターで行進2025年6月16日
-
【人事異動】農水省(6月16日付)2025年6月16日
-
3-R循環野菜、広島県産野菜のマルシェでプレゼント 第3回ひろしまの旬を楽しむ野菜市~ベジミル測定~ JA全農ひろしま2025年6月16日
-
秋田県産青果物をPRする令和7年度「あきたフレッシュ大使」3人が決定 JA全農あきた2025年6月16日
-
JA全農ひろしまと広島大学の共同研究 田植え直後のメタンガス排出量調査を実施2025年6月16日
-
生協ひろしま×JA全農ひろしま 協働の米づくり活動、三原市高坂町で田植え2025年6月16日
-
JA職員のフードドライブ活動で(一社)フードバンクあきたに寄贈 JA全農あきた2025年6月16日
-
【地域を診る】「平成の大合併」の傷跡深く 過疎化進み自治体弱体化 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年6月16日
-
いちじく「博多とよみつひめ」特別価格で予約受付中 JAタウン2025年6月16日
-
日本生協連とコープ共済連がともに初の女性トップ、新井新会長と笹川新理事長を選任2025年6月16日
-
【役員人事】日本コープ共済生活協同組合連合会 新理事長に笹川博子氏(6月13日付)2025年6月16日
-
【役員人事】2027年国際園芸博覧会協会 新会長に筒井義信氏(6月18日付)2025年6月16日
-
農業分野で世界初のJCMクレジット発行へ前進 ヤンマー2025年6月16日
-
(一社)日本植物防疫協会 第14回総会開く2025年6月16日
-
農業にインパクト投資を アンドパブリックと実証実験で提携 AGRIST2025年6月16日
-
鳥取・道の駅ほうじょう「2025大大大スイカフェスティバル」22日まで開催中2025年6月16日