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【森島 賢・正義派の農政論】政治にAIを利用せよ2020年2月17日

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【森島賢】

 新型肺炎が猛威をふるっていて、TVなどは毎日詳しく報道している。発生源は中国だが、専門家のなかには、自然科学者らしからぬ悪意のある発言をする人が少なくない。
 13日になって、中国の感染者数が急増した。この日から簡易な臨床診断による感染者数を含めたからだという。この方法なら短い時間で、しかも多人数の診断ができるという。
 こうした方法は政策評価にも利用できるだろう。それは、政府、与党にとっても、野党にとっても有用なものになる。その結果、沈滞した日本の政治を活性化できるだろう。

 中国の臨床診断は、報道によれば超音波などを使った、肺の画像による診断だという。
 画像解析は、AI(人工知能)が最も得意とする分野である。これには大量のデータを利用するが、ビッグデータの解析は、これもAIの得意分野である。そして、これらの分野で、中国は世界の先端を走っている。
 簡易な検査による診断なので誤差は大きいのだろうが、ここには、非感染者を感染者と見誤る過誤、を懼れない診断の姿勢がある。
 この姿勢が医学の主流なのだろう。そしてこれは、国民の安全が最重要だ、とする政治の意志であり、医療政策の基本姿勢なのだろう。

 これと比べて日本はどうか。日本は旧来のように、綿棒で喉や鼻からDNAを採って、器械で分析して診断するというものである。中国の方法と比べて時間もかかるし、大がかりな器械が必要だ。簡易な検査キットも作れるが、大量に作るには時間がかかる。だから、今すぐには間に合わない。
 これは、社会全体を顧みないで、小さな誤りを懼れ、大きな誤りを懼れない、小心で無責任で利己的な診断法だ、というのは素人のたわ言だろうか。
 こんどの新型肺炎も、以前のSARSやMERSと同じように、夏になって暖かくなれば終息するのかもしれない。しかし、それまでに特効薬やワクチンもできないし、大量の簡易な検査キットも作れないようだ。そうした状況のなかで、いまは感染者を、ことに重篤な感染者を、できるだけ少数に抑え込むしかないという。

 さて、主題に戻ろう。主題は、政治にAIなどの先端技術を使え、という主張である。
 いま日本の政治が使っている大量のデータは、せいぜい世論調査の集計結果しかない。しかも、それらを十分に使っていない。だから、AIの出番はない。
 こうした状況のなかで、政治が右往左往している。そうして旧来の政治が行われ、政治家は天下泰平を謳歌している。その一方で、農業者などの弱者は困窮している。

 政治問題についてのビッグデータは、探せば山ほどある。たとえば選挙管理委員会は、選挙ごとに、町村ごとの候補者ごとの得票数を公開している。このような第一級のビッグデータを政党が政策策定のために使った形跡はない。
 また、国会議論は発言した一字一句が議事録に正確に収録されている。これも言語による第一級のビッグデータだが使っていないようだ。
 そうした貴重なデータを利用すれば、政策をもっと磨き上げられるのに、そうして国民から熱烈に支持されるのに、利用されず、持ち腐れになっている。

 このことは、政治の怠慢を意味している。国民を疎外した中で、政治を行っていることを意味している。これでは日本は民主主義国家ではない。
 日本に民主主義を復活させるには、国民の政治的意志を政治の中へ忠実に反映させねばならない。そのために政治家と政党が行うべき第一歩は、国民の政治的意志を正確に認識することである。
 そのためにAIなどを利用できる余地は充分にある。必要なビッグデータがないのなら作り出せばいい。そして政策を作り上げればいい。
 いま政治家にとって最も必要なことは、国民の政治に対する意志を正確に認識するという強固な志向を持つことである。そして、国民と共に政策を練り上げることである。それらにAIを活用できるところは広範にある。
 それに成功した政党は、国民の支持を得て政権を取り、その政策を実行できるだろう。それこそが、政治家が政治を目指した初心だったろう。
(2020.02.17)


(前回  国民と野党の間のネジレ

(前々回 国会の劇場化


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