新型肺炎による外出自粛と休業を解除する数理【森島 賢・正義派の農政論】2020年6月8日
もしも、市中に新型肺炎の感染者がいなくなれば、感染をおそれて外出を自粛しなくていいし、休業しなくていい。それには、全国民を検査して、感染者を隔離すればいいのだ。そんなことは、だれでも分かる。
しかし、政府はそうしない。莫大な費用がかかると思っているからである。国民は、その犠牲になって苦痛を強いられている。
ここでは、国民の全員が検査するばあい、どれほどの費用がかかるか、を計算してみよう。結果は、工夫をすれば僅か91億円ですむ。
表題で「数理」などと大げさに書いたが、足し算と掛け算と割り算ができる人なら、誰でも計算できる。引き算はできなくていい。
上の表は、計算の過程である。詳しく説明しよう。
Aは、日本の人口である。この全員を検査しようとしている。
Bは、政府が公表している先週末の感染者数である。だが、多くの専門家は、この10倍ほどの感染者が市中にいる、と推定している。それがCである。人口で割り算すると、Dの感染率になる。
そこで、検査の回数を少なくして、検査のための費用を少なくすることを考えよう。
◇
そのために、国民の全員を、28人を1組にして、28人の検体をかき混ぜて検査をする。つまり、28人分を1度で検査する。そうして検査回数を少なくする。
これが、この方法の肝心なところで、武漢の全市民検査と、日赤の献血のときの検査方法を参考にしたものである。
全国民を28人ずつの組に分けると、組の数はFになる。これが組単位の検査の数である。
この組単位の検査の結果、陰性になれば、その組の全員が陰性と考えられる。
しかし、もしも陽性になれば、その組に陽性者がいることになる。陽性者がいる組の数はHである。そして、その組の人の全員を個人ごとに再検査して、陽性者を確定する。この再検査の数はIになる。
こうして、組単位の検査数と個人ごとの検査数を足し算したものがJの総検査数である。これに1検査当たりの費用が1000円と想定して掛け算した総検査費用がKの91 億円になる。
1検査当たり単価の1000円は安すぎる、という批判があるかも知れない。それなら、厚労省から認可権を取上げればいい。いま、抗原検査の技術は日進月歩である。この新技術を使えば、1000円でも十分に採算がとれるだろう。
また、説明が遅れたが、Eの1組の人数は、なぜ28人なのか。それは、27人や29人よりも費用が少なく、節約できるからである。
◇
この計算で分かったことは、91億円で全国民の検査ができることである。この91億円は、多いか少ないか。
いま政府は、200兆円を新型肺炎対策のために使おうとしている。91億円を、この200兆円と比べると、2万分の1以下である。
この91億円を使って全国民を検査し、陽性者を隔離すれば、市中に感染源になる人はいなくなる。
そうなれば、外出自粛や休業をしなくていい。国民の生活と経済は、以前に戻れる。
若い体が躍動する海の湘南が甦り、若い命を燃やす夜の新宿が再び戻ってくるだろう。
それを阻んでいるのが安倍晋三政権である。
(2020.06.08)
(前回 新型肺炎対策にみる中央集権制崩壊の予感)
(前々回 新型肺炎第2波への備え)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日