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(185)コメ輸出10年、今後をどう考えるか【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2020年6月19日

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【三石誠司 宮城大学教授】

今週は少し数字が多いがご容赦願いたい。コメの話を書くとあちこちから様々なボール(直球も変化球も)が飛んでくる。余りクチには出さなくてもそれだけ農業関係者の関心は高いということであろう。今回も田舎教師のたわごとと思って頂ければ良い。

最初に過去10年間の日本のコメ輸出数量を示そう。もしかするとこういう基礎的な数字自体、日本の多くの生産者にとって普段は縁が無いのかもしれない。全て公表されている貿易統計であり、秘密でも何でもない。2010年の3万8242トンから2019年には4万8688トンに増えている。これを見ると「援助米」の数字は年間3~4万トンで一定している。

純粋なビジネスの結果と思われる輸出が1898トンから1万7381トンへと大きく伸びている点に注目したい。これは関係者が必死に頑張った結果であろう。特に近年は香港、シンガポール、米国、台湾などへの輸出が多い。黄色い部分は恐らく援助米である。

表1 コメの輸出数量と輸出先上位3位の内訳

次に同じ過去10年間の輸出金額を示す。数字が伸びれば当然の結果として、金額も年間24億円から61億円へと大きく伸びている。援助米を除いた数字は7億円から46億円へとこれも大きく伸びている。この10年でコメ輸出がいかに拡大したかを示すものである。

表2 コメの輸出金額と輸出先上位3位の内訳

ここまでは申し分ない。最後に最初の2つの表から単価を算出する。単純な割り算である。援助米の単価は概ねトン当たり5万円だ。ところが、これを除くと輸出米の価格は2010年の単価36万円から2019年には27万円に下がっている。
 以前のコラムでも書いたが、世界のコメは生産量も増えているが需要も増えている。その中でハイエンドに位置する日本産のコメ価格が10年間で10万円も輸出価格が下がっている点は、今後のコメ輸出の方向性を考える上でしっかりと理解しておくべきであろう。

表3 コメの輸出価格と輸出先上位3位の内訳

さて、従来、コメの輸出を議論する際、品種の違い(ジャポニカだとかインディカだとか)や生産コストの話が良く使われてきたし、もしかしたら今でも使われるのかもしれない。だが、コメ輸出に全く素人の筆者から見れば、この10年のコメ輸出は関係者の多大な努力の結果、自ら低価格化かつ同質化競争に向かっているという危惧を感じざるを得ない。

いずれの表でも黄色で示した援助米の仕向け先各国には、ジャポニカ米を援助しているはずだ。食べる方はそれが問題になったとはほとんど報じられていない。問題があればそもそも受け入れないであろう。

問題は、10年前には30万円以上あった価格差が、今では20万円程度に縮小したことである。その分だけいわゆる国際価格との価格差が縮小し、日本産のコメが競争力を持ったと考えることもできるが、逆に付加価値を喪失したと考えることもできる。

ちなみに国際価格というが、トン当たり価格で見ればヴェトナムやタイが450ドル前後、米国産の長粒種がやや高くて650-700ドル程度と報じられている。これらに比べれば、トン当たり2500ドル以上の日本産のコメは恐ろしく高いことは間違いない。だからといって自ら価格競争の世界に入る必要があるかどうかは考え物である。10年頑張って数量は10倍とはいうものの、援助米を除けば全体で2万トンにも満たない。

国際価格との格差をトン20万円とすればコメ100万トンを国際価格で輸出するのに足りない金額はたかだが2000億円である。個人とすれば大層な金額だが国家レベルで言えばそうでもあるまい。例えば、経済産業省が今回の補正予算で承認された中小企業向けの事業再開支援予算は1000億円である。これに対し農林水産省の輸出力の維持・強化関連は157億円に過ぎない。これは当然輸出補助金などには使えないが、仮に全額そのままコメ輸出支援につぎ込んでも価格差是正に効果があるのは8万トン弱に過ぎない。申し訳ないがこれではケタが違うのではないかと思う。本当にコメ輸出を目指すなら、農家の基盤強化を徹底的に支援すべきであろう。

もはや変な例えだが、高級車は高級車なりの売り方を考えるか、関連産業の技術やノウハウを活用し、安価品と競合しない全く異なる商品として販売するか、あるいは輸出支援の予算や支援の仕組みを含め、抜本的に戦略を考えなおした方が良いのではないだろうか。


本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】

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