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社会情勢と競争原理で物流改革が進むコメ業界【熊野孝文・米マーケット情報】2020年7月7日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

【熊野孝文・米マーケット情報】


「パチンコ台1台30kgを40台ぐらいが限界でした」
「ケーキ系の軽い荷物を10t車に積めるだけ、約4500個とかの方が腰にきます」
「即席麺を運んでいます。夏が一番辛いです。炎天下での手積み手卸ろしで熱中症になったことがあります」。
女性のトラックドライバーが著した本の中に書かれていた労働環境を記した一部分である。ここにコメのことも書かれている。
「コメの30kg紙袋800袋のバラ積はキツい」、「気温40℃超えの日に30kg紙袋を12t、バラ積み。6tで汗が止まって7tで足が痺れ出して8tで急に滝のような汗が出だして9tで立てなくなって救急車を呼んでもらいました」、「お米の時期になると30kgの紙袋を10t車で400本。トレーラーだと800本バラで積み下ろし。腰コルセットは必須。積み終わったころには運転も嫌になる」。

コメの荷姿の変遷は、俵・かます→麻袋・樹脂袋→紙袋・フレコンといった具合で、現在は紙・フレコンが主流で、その比率は紙6割、フレコン4割という割合になっている。紙袋は容量30kgで、一時はこれがコメの荷姿の大半を占めている時期もあった。その頃でさえ、30kg紙は輸送上の負担が大きいとされ、20kg紙袋が作られて産直販売する稲作農家がその20kg包装機器一式を導入した事例もあったが、日の目を見ないまま今日に至っている。余談になるが以前バンコクにタイ米の現状を視察に行った際、輸出港でタイ人が麻袋に入った100kg精米を軽々と持ち上げ曲芸師のように細い板を渡って艀に積み込む様子を見て驚いたことがある。100kgは無理だが30kg紙袋を担いでハイ積みを手伝ったことがある。80歳にして軽々と30kgを担ぐ米屋のオヤジさんからコツを教えてもらったが、教えてもらったかと言って簡単に出来る作業ではなかった。

コメの物流問題は今に始まったわけではなく、統制下にあった食管時代に産地のカントリーエレベーターからバラ積み専用トラックで消費地の精米工場に運ぶという実証実験が行われたことさえあった。なぜ、そうした試みが日の目を見なかったかと言うと競争原理が働かない制度下にあってはそうする必要がなかったからである。もう一つは産地・年産・銘柄、いわゆる3点セットを表示して精米を販売するという形態が定着、米穀小売店は30kg紙袋の方が都合が良かったからである。今日の事態は、そうした競争原理だけではなく、社会全体が物流改革を進めなくてはならなくなっている情勢で、その流れに抗することが出来なくなっている。

物流改革は多岐に渡っており、一つの事柄を解決すれば済むという話ではないが、直近の例では精米年月日表示を旬表示に替えることが出来ただけで納入業者の負担が減ったという事例が報告されている。関西の米卸は6月から精米袋の表示を旬別表示に切り替えたが、その卸の精米販売担当者によると既存の精米袋を活用して表示欄の上に賞味期限を印字するようにして、新しく包装機器を導入することなく精米袋に「01年産精米時期20.06.上旬 賞味期限20.11」と記載した。これによって納入頻度が減少「休みを取ることが出来るようになった」という。それだけではなく量販店側も「品出しが楽になった」と喜んでおり、消費者からのクレームも全くないという。この卸は今月から生協向けもこの表示方法に変更する予定。精米商品配送のリードタイムについてはコメ卸団体の全米販と全農が連名で全国スーパーマーケット協会やチェーンストア協会等に要望書を提出しているが、それより先に要望書を受け取った側の中に大胆な物流改革を計画しているところがあるという。
その改革の目玉は「共同配送」で、なんと競合他社と共同配送システムを構築するという計画が進んでいるというのだ。共同配送する商品は様々だが、その中にコメも入っているという。競合する大手量販店やコンビニが精米を共同配送するという事例を聞いたことがないが、今秋にもそれが実現することになるとコメの流通にも大きなインパクトを与えることになりそうだ。

農水省は2年度に農産物等業務効率化モデル形成として「コメ・砂糖等に係るRFID等によるフレコン等の運用・管理や共同輸送配送システムの構築に必要な実証」を行うとし予算要求をした。RFIDとは「電子タグに記憶された生産・流通履歴等の情報を無線通信によって読み取ることで、移動追跡等を可能とする情報通信技術」のことで、やろうと思えば穀粒判別器で画像解析したデータをそのタグに乗せることも出来る。そうすることによって完璧なトレーサビリティが可能になる。

  
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