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負のスパイラル・どこまで続くコメ消費減!【熊野孝文・米マーケット情報】2020年8月4日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

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すでに専門紙だけではなく一般紙にも取り上げられているので、改めて触れるのは気が引けるが、あまりにも衝撃的な数字であったのでこのコラムでも取り上げてみたい。それは農水省が食糧部会で示したコメの需給見通しで、そこにコメの需要量が1年間(元年7月~2年6月)で22万tも減少したと記されていたからである。農水省はコメの消費量減少はトレンドとして毎年8万t減少するとしていたが、昨年末の食糧部会でそれよりも2万t増やして10万tになるとしていた。ところが現実にはその倍以上の需要減を招いている。

22万tと言えばほぼ千葉県で生産されるコメの量に匹敵、それが1年間で吹き飛んだことを意味する。なぜこれほどまでにコメの需要が減ったのか? 

この資料を作成した農水省の担当部署に聞いてみた。担当者が示した要因は3つある。一つはインバウンド需要の減少。このことについては食糧部会の参考資料にも記されている。そこには失われたインバウンド米需要の推計(1~6月分)として1.5万tと記されている。算出根拠は「昨年より減少した今年1~6月の訪日外国人旅行者(1269万人)全員が、茶わん1杯分のご飯(65g)を1日2食食べたと仮定し、外国人旅行者の平均泊数9泊を乗じて算出」としている。コロナ禍でオリンピックが開催されなくなり、4000万人が日本に来なくなったのだからこの分の需要は消滅した。

2つ目もコロナ禍の影響で、3月~6月の間失ったコメの需要量は、中食・外食の合計で8万6000t減少したと推計している。算出根拠は「大手米穀販売業者の販売数量(農林水産省「米穀の取引に関する報告」)から算出した、今年3~6月の販売数量の前年比増減率中食・外食向け=▲18%、小売向け=+8%、令和元年産米の水稲うるち米検査数量423万t/年(加工用米等を除く。)に、中食・外食向け割合32.7%、小売向け67.3%を乗じた月単位の流通量(中食・外食向け:12万t/月、小売向け:24万t/月)に、上記の増減率を乗じて算出」としている。

3つ目はコロナ禍の影響ではなく、コメの価格が上がったことによる消費減。添付資料には「〇近年、米の需要が停滞している要因は、人口減少等を背景とする需要減少トレンドの継続に加え、平成29年産以降、産地と卸との間の価格である相対取引価格が1万5000円超と比較的高い水準となっていることから、消費者・実需者が購入量を抑える傾向にあるのではと考えられる。〇令和元年産米の需要量減少の背景としては、令和元年10月の消費税率引上げの影響で消費支出が抑制され、外食(イートインは10%に)や、税率が8%のままでも単価が比較的高い精米商品(5kg、10kg入り)の購入を控えることにつながっているのではとも考えられる」と記されている。添付データとして相対価格の推移と一世帯当たりのコメの購入数量がグラフで示されており、価格が上昇するにつれコメの購入量が減っているのが一目瞭然である。このことに関しては何度もこのコラムで触れて来たが、農水省がこうしたグラフを出すのは初めてである。

コメの価格が上がると消費が減るという当たり前のことであるにも関わらず、高米価維持政策を改めようとはしない。2年産米についても省を上げて主食用米から餌米等への転換を産地に働きかけ、更には周年対策で過剰になる主食用米を隔離してまで米価を維持しようとしている。このままでは制度や助成金は残ってもコメは市場から消えてしまうと何度も指摘しているにも関わらず、今の政策を改めようとしない。

今、コメ政策の在り方を抜本的に変えないとコメ農業・産業は文字通り死に体になる。今の制度を無くさずにコメの消費減に歯止めをかける方法がひとつだけある。それは転作助成金を入り口ではなく、出口で出すようにすることである。どういうことかと言うと現在の転作助成金は収穫前段階で主食用米を輸出用や加工用、米粉用、エサ米にするという認定のもとに助成金が支給される。そうではなく、今の助成単価をそのままにして輸出用や加工用、米粉用、エサ米に仕向けた実績数量に合わせて助成金を支給するように改めることである。そうすることによって産地は主食用米の市場価格を見ながら輸出用等新規需要開拓米に自由に振り向けることが可能になる。その認定は輸出用米なら輸出実績証明書があり、その他の用途も把握できるようになっているのだから新たな政策的措置を講じる必要はない。そうすることによって産地生産者は自らの経営判断が働き、用途に合った生産が可能になり、今のような需給のミスマッチは起きず、需給のコントロールも容易になる。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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