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(194)何となく「わかっている」ことを10年続けられるかどうか...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2020年8月21日

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世の中には多くの人が経験的に知っていることがあります。ただし、それが本当にそうかどうかを科学的に検証するためには、なかなか面倒な手続きが必要です。ビジネスを行う人は早急な結果を求めますし、科学には厳密な手続きが必要ですし…。そして、何となく「わかっていること」を、しっかりと10年くらい続けられるかどうか、実はこれが重要です。

暑い日中、米国農務省の機関紙である「Amber Waves」(Web版)を見ていたところ、「当たり前」に思えることに大真面目に取り組んだ興味深い論稿に遭遇した。

世の中には、健康な食事とダイエットに関心を持つ人が多い。日々の食事をどのようにしたら体重をコントロールできるかを悩む人は数えきれないほどいる。とくに、この春以降は新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークや各種移動の自粛が続き、体重増加に悩むものの、日々の食事は重要なイベントでもあり、制限は難しい。

ところが、食事を楽しめば楽しむほど体重増加の不安(?)は襲ってくる。そこで、某医師ではないが「一日一食」のような形で体重を管理し、同時に若さを保つような話が登場する。朝昼晩の3食に慣れた現代人にとり、「一日一食」は「本当かいな?」と尋ねたくなるレベルであると同時に、「そりゃ痩せますわな...」と言いたくなる。

これほどではないにしろ、少し食べ過ぎた時に、一食抜くくらいは誰でも身に覚えがある。身に染み込んだ経験則はこうだ。

「朝食は抜かない方が良い。朝をしっかり食べた上で、抜くなら夕食!」

そう言われても多くの現代人の朝は忙しい。そもそも食べるものも1~2品で十分である。パンに紅茶だけの時すらある。我が家の結論はこうだ。

「これで夕食も抜いたら、むしろものすごく身体に悪いのではないか? 栄養も偏るし...。」

先の「Amber Waves」には、米国の例が出ている。結論をラフにまとめるとこうだ。食事を一食抜くと、カロリーは252~350kcal低下するが、食事の質も低下する。最もカロリーが低下するのは夕食を抜くことであり、質の面では夕食を抜いた場合の低下が一番少ない。

これはHEI(ヘルシー・イーティング・インデックス、合計100、果実、乳製品、全粒穀物など12の食品グループで構成)という指数を用いて、2007-16年の全米国民健康・栄養調査(NHANES)のデータをもとに検討したものだ。以下のアドレスをクリックすると結論のグラフを見ることが出来る。左側が朝食・昼食・夕食を抜いた時のカロリーの減少量、右側がその各々に対応するHEI指数の減少度合い、つまり質の低下を示している。なお、ここで言う「質」とはあくまでも栄養学的なものであろう。

https://www.ers.usda.gov/webdocs/charts/98740/July20_Finding_Zeballos_fig01-01.png?v=9925.8

さて、この結果を見ると、夕食を抜くことは摂取カロリーの減少にもなり、食事の質の低下という面でも朝食・昼食を抜くより影響が少ないから良い...。逆に、朝食を抜くことはカロリー減少には影響が少ないのに質の低下での影響が大きい...ということになる。

要は、朝食と昼食はしっかり食べて、夕食は(抜いても良いとは言わないが)軽くしても食事の質への影響は最小限に留まる...ということだ。

それにしても、こんなこと、ほとんどの人は経験的に理解しているのではないか。それでもなかなかうまく行かないのは、朝は忙しいから簡単に、昼は仕事の途中で慌ただしく、あるいは取引先と打合せを兼ねて...、となり夜くらいはゆっくり...、という心理・感情面の行動が大きいと考えられる。そしてこれは「質」の重要な要素でもある。

なお、何となくわかっていることを、こうしたデータで示されると身も蓋も無いが、そもそも簡単な思い付きこそが大きな真実につながることは多い。

ある光を同じ速度で横から追いかけたら隣の光は静止するのかという問いは、16歳のアインシュタインが気づいたシンプルかつ偉大な疑問であり、それを10年間かけて特殊相対性理論にまとめあげたのは1905年、今から115年前のことである。

朝食と昼食をしっかり食べて、夕食を軽く(場合によっては抜く)くらいが健康には良い...ということは何となくわかっている。問題はそれを10年間実行できるかどうか...、そこにアインシュタインとの大きな違いがあるのかもしれない。

日曜日の早朝、自転車を取り出し10kmほど走り、海辺の朝市でどんぶりご飯を食べ、さらに10km走って帰宅し体重を計測したところ、出かける前よりもわずかですが減少していました。要は、ぐだぐだ言わずに身体を動かせば、ごはんを腹一杯食べても大丈夫という極めて当たり前の現実を体感した次第です。


本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】

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