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戦後の雑税ドラマ【童門冬二・小説 決断の時―歴史に学ぶ―】2021年1月23日

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戦後の雑税ドラマ

首をかしげる犬税や使用人税

コロナ・ウィルスによる"おこもりぐらし"は、大なり小なりそれぞれの人間に、辿って来た道を振り返りさせたに違いない。私が思い出し続けているのが、若い頃の税務体験だ。特に戦後の一時期、目の色を変えて新しい税目を探し廻った頃の思い出だ。

私は昭和二十二年(一九四七)年に目黒区役所に入り、十三年後に都庁に移った。今の制度(区長公選)になる前の区は、都庁の現場機関であり、区長は「区議会の推薦者を都知事が承認する」存在であり、職員はすべて都職員だった。しかし区民生活に関わりのあることは区条例として、区議会が議決した。区税条例もその一つだ。

区にいた十三年のうち十年は税務課にいた。新しい税目は「雑税」と称されて、主導する都主税局の下でいろいろな課税対象が案出された。記憶に誤りがなければ、

自転車税・木材引取税・電話加入権税・犬税・使用人税・娯楽施設(パチンコ店)税等があった。

「課税していいのかな?」と、現場にいて迷ったのが、自転車税・犬税・使用人税等だ。自転車については、映画好きの私はイタリアの名画"自転車泥棒"を何度も観ていた。車が高価で普及しないイタリアでは、自転車は仕事上の移動用具として欠くことができない。それを盗まれたから、探し廻ることが映画のテーマになる。これは日本も同じだ。

そんな思いで頭を一杯にしながら、納税者の自転車にトンカチ(木槌)で、登録の鑑札を打ち続けた。まだ手があの頃の感触を覚えている。

弱ったのが犬税だ。人間より犬や猫を信頼し、自分でも飼っていた私は「犬や猫にむしろ人間は感謝すべきではないのか」と思っていたから、納税者が飼主(人間)であっても、心が痛んだ。"猫税"がないのがせめてもの救いだった。税額は一頭二百円位だっただろうか。

さらに弱ったのが、"使用人税"である。家事・事業を問わず「人を使用している使用者」に課税される。対象にされたのが家事使用人と、飲食店で働く従業員だ。

戦後、日本の税制の根幹を揺るがす"勧告"をしたのがアメリカから来たシャウプさんだが、かれの勧告理念は、

・小さな政府・大きな地方自治体
であり、また納税者も、

・権力(政府や自治体)に取られる税でなく

・自分から差し出す税(個人の自治表示)

を柱にしていた。これらが採り入れられ、

申告制や自主納付がシステム化された。納税貯蓄組合もこの趣旨に副(そ)って編まれた組織だ。

だからといって住民がすぐ「うちには犬が何匹います」とか、「お手伝さんが何人います」等と申告してはくれない。そこまで行くのには時間がかかるのだ。

結局こっち(役所)から調査(課税客体の把握)に出向くことになる。

犬の場合はまだよかった。
「え、うちのポチに税金がかかるの? でも仕様がないわね」と、飼主は苦笑しながら申告書(本当は自分から出さなければならない書類)にハンコを押してくれる。

使用人税の場合は厄介だった。訪問した時に家人はいない。家事手伝いの本人がいるだけで、それも地方出身者が多い。説明しても理解できない。もちろん納税者は雇い主だが、゛自分が主人のいない留守に課税対象として登録された゛と知れば主人は、

「バカヤロ、何やってンだ!」

と怒るに決まっている。案の定、こっちがダマすようにしてハンコ(本人)を捺させた家からはすぐ雇い主がやって来た。が、雇い主も賢い。

「ご足労いただきましたが、あの娘(こ)は使用人ではありません。親戚の娘です。嫁入り前の家事見習で預かっただけです。登録は取消して下さい」

この申出は多かった。私は自分の扱い分からかなりの枚数を雇い主に返した。訪問時、ワケもわからずハンコを捺したお手伝いさんの、キョトンとした表情が思い出され、罪の意識が滲み出た。が、「親戚の娘」だという言葉は今でも疑っている。

もっと厄介なのは飲食店、それもバーやキャバレーで働く女性たちの扱いだった。閉店直前に行く。

タバコを喫いながら、

「坊や(私のこと)、ごくろうさん、でも冗談云わないでね、こっちは生活かかってンだから」と相手にしてくれない。もともとこっちに弱味(どうしても課税に自信が持てない)があるから、それ以上押せない。

こういう調査の面倒は私だけでなく、多くの職員が経験した。

「我々の手には負えません」

ということになって、課長以上の上位職の仕事になった。政治的解決(使用人員の調整)もあったのではなかろうか

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童門冬二(歴史作家)のコラム【小説 決断の時―歴史に学ぶ―】

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