学習活動から始める准組合員対策 荒川 博孝・JA東京中央総務部経営企画課課長【リレー談話室・JAの現場から】2021年4月14日
令和2年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、事業活動の縮小や各種行事・イベントの中止が相次いだ。そのような中で当JAでは、コロナ禍における組合員のおうち時間をサポートするために家の光協会が発行する「農業・協同組合・庭づくり・料理・子育て・相続」に関する15点の書籍を推薦し、希望の1冊をプレゼントする企画に取り組んでいる。
JAらしい還元を
取り組みのきっかけは、コロナ禍で組合員が各種活動に参加できない現状を受け、「JAらしい組合員還元策はないか?」という役員の声に購買品のプレゼントなどの意見もあったが、購買品を送っても面白みがないし記憶にも残らないなどの声があり、結論には至らなかった。会議では多種多様な発言があり、とりまとめると「消費よりも投資であり、かつJAらしい取り組み」というものであった。
一方で、当JAでは令和3年度夏からJAスクールという愛称の組合員学習活動を開講予定である。組合員大学のような固定メンバーではなく、組合員であれば興味のある講座に誰でも参加できる。開講の目的は組合員との新たな接点づくりであり、信用事業利用目的で准組合員となった方々や正組合員次世代との関係づくりには新たな一手が必要であり、自助が求められる時代背景も踏まえれば、自己学習は必要不可欠だからである。
初年度は、生活文化向上を目的とした「資産形成セミナー」や「終活セミナー」、健康寿命の延伸を目的とした「健康管理セミナー」、農業理解の醸成を目的とした「フードセミナー」など、組合員のくらしに直結したプログラムをJAで決定した。2年目のプログラムは、参加者の意見を取り入れたプログラムを予定している。そこで、組合員への還元策とJAスクールをリンクさせて、「JA活動に関連する書籍を推薦し1冊プレゼントすることで、組合員の興味を把握することができるのではないか」とのアイデアが生まれた。
JA活動の書籍を
当組合が書籍を通じて組合員に伝えたいことをリストアップすると、「協同組合、農業、農産物(野菜、花き)、料理、相続、子育て」などが挙がった。これらの書籍は家の光協会で発行されていることから、すぐさま連絡し人気の書籍などのアドバイスをいただいた。
次に送付先である。全ての組合員を対象にしたいが、費用対効果も加味し約7500人(総組合員の約60%)とした。また、青壮年部の配偶者が出資していないケースも見受けられたことから、支店ごとに抽出作業も行った。青壮年部の配偶者がJA運営のキーパーソンであることは全国共通である。男女比は男性47%、女性53%であり、年齢別では60歳以上が約80%であった。
返信方法はネット上のフォームを使用することも検討したが、対象年齢を考慮しハガキの対応とした。ハガキには独自の個人識別番号を付すことにより、希望の商品番号を記載するのみで住所や名前の記載を不要とし個人情報の保護にも努めた。これはハガキに記載された番号を読み込み集計するノウハウを持つ印刷会社の協力を得た。
組合員へ案内を送付して8日目現在で約2600通の返信があった。人気の商品は「シニア向けレシピ」「庭づくり」「ベランダで野菜づくり」「遺産分割のコツ」と分散している。最終的に集計することで性別や世代別の興味を把握でき、今後のJAスクールに活かすことができる。
農業の魅力伝える
当組合は准組合員が正組合員の6倍であり、農業に関心のない方もいる。今は農業に興味がなくてもいい。今回の取り組みをもとに私たちは食を通じて農業の魅力や農地の機能を伝えることから始めたい。それはJA全中の掲げる国消国産にも通じていると考える。「国産」はもちろん正組合員であるが、「国消」の質を高める活動は准組合員を起点に展開できないものかと考える。
これからの食については、農水省のみどりの食料システム戦略(中間とりまとめ)でも「環境にやさしい持続可能な消費の拡大や食育の推進」の項目があるなど、国民一人ひとりがこれからの食と農について学ぶべきことは数多くある。
JAグループが学習活動として准組合員に食に関する学習の機会を与え、相当数の意識が高まれば新たな展開が生まれるのではないだろうか。JAスクールでも「みどりの食料システム戦略」を取り上げることも検討したい。
最後に食料・農業・農村基本計画に規定された新たな国民運動では、「食と農のつながりの深化」を掲げており、JAグループは正組合員と准組合員の協同をもって対応すべきである。そこには精神論だけでなく、CSAに倣い、正組合員と准組合員でのMSA(メンバーサポートアグリカルチャー)をビジネスモデルとして開発することが急務と考える。JAグループの英知を結集させ、次の一歩を踏み出す時が来たのではないだろうか。
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