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ごはんが最大の武器だという大手外食企業【熊野孝文・米マーケット情報】2021年5月11日

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外食業界の団体日本フードサービス協会の調査によると、昨年1年間の全店舗合計の売上は前の年に比べ15.1%の落ち込みで、1994年に統計を取り始めてから過去最大の落ち込みになった。まだコロナ禍で回復の糸口も見えないうちに再度緊急事態宣言が発令され、時短による売上げの落ち込みが避けられなくなっている。こうした中、テイクアウトに活路を見い出し打って出る外食企業がいる。その際の最大の武器は「ごはん」だという。

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(株)プレナスは、グループ企業全体で年間のコメの使用量が4万トンという外食企業の中で1、2を争うコメのヘビーユーザーである。以前、このコラムでごはんのお替りのことを話題にしたことがあったが、来店客の7割がごはんをお替りする店があると記したのはプレナスが運営する定食店「やよい軒」のことである。やよい軒は現在、国内で374店舗、海外でも244店舗を展開している。メニューは家庭の味を軸にした「定食」で、日本古来の1汁3菜を基本にしている。そのやよい軒が4月27日から「おうち定食」と銘打って新たなテイクアウトサービスを開始した。

おうち定食の3つの特徴は、(1)1汁3菜をベースにした定食スタイル(それぞれ別の容器で提供、ごはん容器は深めの容器)、(2)自宅でもごはんおかわり自由の満足感(普通盛り、大盛、超特盛まで無料で選べる)、(3)豊富な定食のラインアップ(14種でスタート)。無料で選べるという超特盛は茶碗2.5杯分480グラムもある。そのごはんを詰め込んでも美味しさを損なわないように、ふんわりさせるために深めの容器を採用している。同社の役員は記者発表会で「最大の武器はごはん」で「ごはんをたくさん食べられる満足感を得られるようにした」と述べた。同時に今年夏までに全店舗にごはんおかわりロボットを導入するほか、テレビCMで染谷将太さんを起用して、3度もご飯を食べるシーンが出て来るCMに仕上げ「ごはんが美味しいことを全面に打ち出す」ことにしている。

ごはんが美味しい理由については、一つめは、コメは野菜と同じであるとの考えから鮮度を重視、玄米で仕入れて国内4カ所の精米工場で精米して直ぐに店舗に搬送する。二つ目は精米のブレンドで、品質が一定に保たれるように精米品位や食味をチェックしながら各産地のコメをブレンドする。三つ目は店舗の洗米から炊飯作業は全てマニュアル化されており、火力はガスで五升炊きの釜の6割を使用して重量を計測、炊飯時に対流を促し、白飯仕上がりにカニ穴が出来るようにする。四つ目が全店舗トーヨーライスの金芽米を使用し、その特徴を示した「おコメのファクトブック」を紹介した。

ごはんの美味しさと盛りの良さをアピールしてテイクアウト客を引き付けようという作戦だが、この作戦にはある狙いも秘められている。その解は来店客のデータに示されている。同店の昼間の来店者の男女別割合は、男性7割、女性3割で、男性客の割合が極めて高い。ところがテイクアウトでは、男性51.6%、女性48.4%でほぼ半々の割合で、さらに夜テイクアウトで購入する顧客の割合は、家族が61.7%にもなる。夜の部では女性、家族の割合が8割にもなる。女性は家族の笑顔が見たくて商品を購入する。2食分の定食を購入して超特盛を2つ頼めば家族4人分の食事が賄える。まさに超お得である。会見では女性が好むおかずなどのデータも示し、女性や家族を新しいターゲットにしていることが良く分かった。

ごはん、コメへのこだわりはこれだけではない。

コメにこだわる同社は、一般社団法人米食文化研究所を立ち上げ、茅場町の本社ビル屋上で地元の小学生を招いて稲作を行っているほか、海外に日本のコメ食文化を知ってもらうべく映画も製作している。さらに新たな取組みとして東京本社に日本の弁当文化の魅力を発信すべく「お弁当ギャラリー」を開設した。これは東京都美術館や飛鳥山美術館などに展示実績がある弁当箱取集家の瀬戸昇氏より貴重な弁当コレクッションを譲り受け、日本の弁当文化の魅力を後世に継承するために、東京本社一階に約300点の弁当箱コレクッションの中から厳選して展示する。

また、海外の自社店舗に日本産米を届けるため、自社でコメを生産すべく「プレナス加須ファーム」を設立、社員3名が常駐、5月10日からスマート農業による田植えを実施する。圃場は12筆2.5haあり、日々の水管理を遠隔で管理するクラウド型水管理システムや作業計画や作業指示、作業記録など日々のデータを見える化したシステムを導入するなど、生産性の高い稲作を目指している。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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