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通商交渉に見る"法治主義と放置主義"【近藤康男・TPPから見える風景】2021年8月19日

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“答えていない”答弁、検証・根拠無しの言い訳的答弁が目立つ政権、、そして“記憶出来ない”、資料保管も出来ない一方、公文書改ざん・廃棄だけは得意な官僚が大手を振っている。行政府による国権の最高機関たる立法府の存在無視、民主主義の破壊が常態化している。TPPなどの通商交渉ではどうだろうか?

外交交渉、その情報は本来国民のモノ

政府のお好みの言い訳に「交渉中につきお答えは差し控える。」政府のお好みの常套句だ。しかし、よく考えると、交渉中の相手は日本政府が"差し控えている"内容を当然承知していて、交渉に差し支えることは無い筈だ。知らないのは議員と国民だけ、という妙なことになっている。"公判中であり..."も同じような言い逃れでしかない。

色々言い訳をするが、野党・国民からの雑音を聞きたくないという身勝手と、情報・交渉は自分たちの専権事項と思い込む錯覚だ。

米国の法治主義としてのTPAと対日(EU)交渉目的概要

TPA(Trade Promotion Authority Act大統領貿易促進権限) という言葉は、16年2月のTPP合意署名以来日本でも馴染み深い言葉となった。TPP合意署名時点での正式な法律は「2015年超党派議会貿易優先事項及び説明責任法」(Bipartisan Congressional Trade Priorities and Accountability Act of 2015)で、3年間のみ可能な延長の後21年7月1日に失効した。立法府が大統領に交渉権限を付与する一方で、議会として交渉目的を明らかにするとともに、議会の関係委員会などとの協議も求められ、同時に守秘義務前提に交渉経過の閲覧も認められるという法治だ。

また、日米貿易交渉に際しては18年12月21日、22項目の「対日交渉目的」がUSTRにより公表され、日本の私たちにも明らかにされた。米国はEUとの貿易交渉に際しても同様に、19年1月11日に「対EU交渉目的概要」24項目を発表している。

対米交渉に見るEUの法治主義、透明性・説明責任

米国の「対EU交渉目的概要」公表の1週間後の1月18日に、EU理事会はEU委員会(執行機関)宛ての交渉開始権限などに関する4つの文書を公表している。

そこでは交渉権限・目的などに加え、米国との貿易交渉は18年7月のEU・米首脳共同声明に基づいて行われるもので、その内容が尊重されなければ"交渉から離脱"するという立場も明らかにされている。更にこれまで同様、公聴会・市民団体との対話も実施され、概要報告としてまとめられると共に主要な意見に対しては見解を提示すると明記されている。

交渉権限や目的に加え、国民に向けて交渉の透明性・説明責任を明文化しているのだ。

対照的な日本の放置主義=戦略性・透明性・説明責任の欠如と立法府無視を振り返る

TPP参加以前には外務・経産省などが、交渉経過などをウェッブサイトに掲載していたがそれだけだった。僅かに交渉参加に当たり、日米首脳会談や国会答弁で、農産物の重要品目を念頭に関税の完全撤廃を牽制したり、記者会見で同様の決意表明をした程度で、具体的な交渉目的・戦略の全体像が公表されたことは無かった。政権与党としての自民党も野党時代は「TPP参加の即時撤回を求める会」と声高だったが、13年7月の交渉参加以降は「TPP交渉における国益を守る会」と、理由なく豹変してしまった。TPP合意後の協定交渉では、政府は国会や会見で「TPPが限度」「国益を守る」と決意表明するだけで、通商外交の戦略性は益々見えなくなった。

しかし、日EU・EPA、日英EPA,日米物品貿易協定でもTPPを上回る妥協が繰り返されたことを忘れる訳にはいかない。事例の一部だが、日EU・EPAでの農林水産物の市場アクセス拡大・国有企業や公共調達の対象拡大、TPP11と日米貿易交渉での牛肉などの緊急輸入制限発動基準数量の実質的拡大(=発動し難くなる)、更には日本側の約束たる協定文書付属書Ⅰには「米国は将来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇を追求する」という文言迄入った。いずれも「TPPが限度」ではなく"TPPプラス"だ。そして農産物は常に"引き出物"にされてきた。

TPP以降後退を続けた透明性と説明責任

交渉参加前の民主党政権時代、内容的に不充分ではあったが、市民団体の要請で政務官などとの意見交換が2012年に3回実施された。

TPP交渉参加後・合意後は、審議官クラスも出席し、国内各地で業界対象、一般対象の"説明会"が相当回数開催された。また交渉会合の現地では毎回説明会が開催された。私も国内の一般対象、海外現地での説明会のほぼすべてに参加し意見も述べさせてもらった。しかし、やはり経過・進捗説明が中心で、具体的交渉事項に対する日本の立ち位置や着地の見通しなどへの言及は無く、推測するしかなかった。そしてTPP以降の交渉では、情報開示・説明は後退を続けた。

ただ、合意後は市民団体主催で、政府との"意見交換会"が開催され、協定文書の内容に基づく市民側からの問題点指摘・追求を行う機会を持った。省庁からの出席は多としたいが、幹部出席は無く、意見・質問への回答は、曖昧な"逃げ"に近いとの印象を持った。

翻訳、英文の合意文書の開示そのものの省略

国会では「他国に関するモノで日本に関係しないため翻訳していない」との説明だ。しかしせめて英文での公表、特に国別付属書は、政府の交渉結果の検証のためには欠かすことが出来ない筈だ。

いくつかの文書を幹事国NZのサイトで捜して読んだが、上記のような思いを強くした。

今後市民・野党は合意迄待つのではなく、政府に対し、既存の協定の見直し条項や特恵的待遇要求などを含め、協定交渉の戦略としての交渉目的・立ち位置の明確化、透明性・説明責任など、"法治主義"に基づく対応を求めるべきだろう。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

近藤康男「TPPに反対する人々の運動」世話人のコラム【TPPから見える風景】

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