【JCA週報】書評 『つながり志向のJA経営 組合員政策のすすめ』2021年11月8日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫 日本生協連代表会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、協同組合研究誌「にじ」2021年秋号に執筆いただいた農業開発研修センター 客員研究員 青柳斉氏の書評です。
【書 評】
増田佳昭編『つながり志向の JA経営 組合員政策のすすめ』
2020年(家の光協会)
評者 青柳斉 一般社団法人 農業開発研修センター 客員研究員
(略)
准組合員の事業利用規制に言及した改正農協法の施行(2016年)を契機に、様変わりしつつあるように見える。最近になって、系統農協中央会からの働きかけもあって、支店での運営委員会や地域活動、准組合員を含む女性部の再組織化や食農教育活動、准組合員への広報や訪問活動などに取り組む JAが都市部を中心に増えている。
とはいえ、本書で紹介している事例 JAのような活発な取り組みはまだ少なく、経営方針には掲げてはいるものの実際には相応の実績がない JAもかなり見受けられる。
その背景には、JAトップの准組合員問題意識の低さもさることながら、組合員対策に関わる人員やコストの投入に対して、その「成果」への消極的な評価があるように思われる。あるいは、課題認識はあっても、具体的にはどのような活動・事業分野や方策で取り組むべきか、暗中模索しているのかもしれない。
本書は、このような問題状況にまさに応えようとしており、その内容において特に以下の点を評価したい。
まず、組合員政策をめぐる諸課題について、組合員の属性別組織化や各種協同活動の諸形態、准組合員の意思反映やコミュニケーションの方策、担当部署・推進体制のあり方など網羅的、具体的に論じている。
第二に、具体的な取り組み課題・方策を提起するに際し、JAと組合員との「つながり」の実態(内容・程度)について、全国的な大量アンケート調査によって、組合員の意識面と行動面において定量的に把握している。
第三に、その統計的分析から、帰属感を表す「わが JA意識」の高さが、各事業利用に強く貢献していることを実証的に解明した意義は特に大きい。そして、これらの定量的な分析結果が、具体的な組合員諸対策を提示する上で、説得的な論拠となっている。
冒頭でも指摘したように、今日の系統農協において、組合員政策の取り組みは喫緊の課題となっており、その企画・推進担当者はもちろん JAトップにも本書の熟読を推奨したい。
※ 全文は、JCAウェブサイトにて公開しておりますので、是非ご覧ください。
協同組合研究誌「にじ」 2021秋号より
https://www.japan.coop/wp/publication/10090
(紙媒体での購読のご案内)
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(TEL:03-6280-7252 FAX:03-3268-8761 E-Mail:kenkyu@japan.coop )
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